映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」のグランプリ受賞作で、現実と夢が溶け合う空間で信じるものを見つめ直す異色の青春幻想譚『夢の中』が、5月10日より公開されることが決定した。併せて、特報映像とポスタービジュアルが披露された。
本作は、中学生の性の違和感と自己理解の揺らぎを描いた『蝸牛』でMOOSIC LAB 2019短編部門グランプリほか四冠を達成した新鋭・都楳勝監督最新作。想像をかき立てる幻想的な映像と構成、キャストの真に迫るかけ合いから、この世界と、人と向き合うことの一つの意味を浮かびあがらせる。
主演は、2015年の活動開始から真摯に演技を重ね、「隣の男はよく食べる」、『輝け星くず』ほか近年出演作が続き評価を高める山﨑果倫。共演は、連続テレビ小説「ちむどんどん」などドラマ・映画を中心に出演、監督作『君に幸あれよ』ほか映像作家としても注目を集める櫻井圭佑。そして、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や、連続テレビ小説「らんまん」など近年活躍の場を広げる山谷花純、大河ドラマ「光る君へ」出演のほか演出家としても多岐に活動する玉置玲央たちが集結した。
「俺のこと、ここで匿ってくれない?」血まみれで息を切らす男・ショウに声をかけられたタエコ。生気がなく虚ろな瞳の彼女は、部屋に入る彼に「私の最期、綺麗に撮ってください」とお願いする。何から逃れてきたのか。その願いは本当に望んでいるものなのか。2人は時間を共有するうちに、夢とも現実ともつかない、お互いの感情と記憶が交ざり合う奇異な世界に引き込まれていく。タエコが、ショウが、目を背けてきたものを前に、表情を変えていく。何が本当で嘘なのか、当たり前と思っていたあの安らぎも、この苦しみも。
▼キャスト&監督 コメント
■山﨑果倫(藤野タエコ役)
都楳監督が描く世界は、常に静かな熱気が立ち込めていて、包まれていくうちに自分の能動的な感情を思い出させてくれるような力があると感じます。そんな世界にタエコとして存在することができた経験は、私の生涯で忘れられない大切な宝物になりました。この作品でタエコという人間を演じている間、自分の心の奥底にある枯渇と欲望といつも静かに見つめ合っていました。そして自分とは別の人間の人生を生きるということを初めて確かに実感ができた作品でした。全身全霊で臨んだ作品です。ぜひ受け取ってください。
■櫻井圭佑(松島ショウ役)
松嶋ショウ役を演じました櫻井圭佑です。この映画はコロナ禍に若い世代のスタッフ・キャストを中心に制作された作品です。都楳監督ワールドの中で日々役として、また1人の自分として葛藤しながら撮影をした記憶が今でも鮮明に蘇ります。撮影から少し時間が経過した今、こうして劇場公開できることを幸せに思います。より多くの方に劇場で見ていただけることを祈っています。
■玉置玲央(藤澤優一役)
『夢の中』というタイトルは秀逸で、端的に、しかし確実にこの作品のありのままを表していると思う。最初に台本を読んだ際、掴みどころのない台詞のやり取りや人物描写をどう映像化するのだろうと思っていたが、都楳監督の作る画とその色味や風景のお陰で非常に美しい『夢』が立ち上がっていて驚きました。そこに生々しく力強い俳優の演技が乗っかってるもんだから没入感も強烈で、これは台本を読むだけでは得られない感動でした。その感動を是非、皆様にも味わっていただきたいです。どうか一緒に『夢の中』へ行けますように。
■山谷花純(根元アヤ役)
アヤ役を演じさせて頂きました。初めてモデルという役柄を演じ、カメラのシャッターを切られる度に、本当の自分というものを削ぎ落とされる感覚になり新鮮でした。タイトル通り。まさに夢の中を旅するかのような作品。正直、私の口から物語の説明をすることが今も難しい状態です。一人一人違った解釈があって良いのが映画だと思うので、皆様がどのような感想を抱くのか楽しみで仕方がありません。1人でも多くの方に見て頂けることを願っております。
■都楳勝(監督)
自分で自分の心に蓋をする事で自分を守っていらっしゃるあなた、いつかその蓋を上手にカパって開けてくれる人が現れますから、鍵は掛けずにいてください。最初は上手に歩けなくても、手を取り合って歩く道はいつもと違う景色に感じるでしょう。真っ暗で道が分からなくなったらこの映画を観てください。灯が差す方へ辿り着いたら一緒に語らいましょう。そしてコッソリ教えてください。『夢の中』良い映画でしたよって。
『夢の中』
2024年5月10日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:都楳勝
出演:山﨑果倫 櫻井圭佑 アベラヒデノブ 金海用龍 森崎みのり 玉置玲央 山谷花純
配給:レプロエンタテインメント
©「夢の中」製作委員会