世界的評価を受けた『一年之初(一年の初め)』や『ヤンヤン』など、人と人のつながりや人生模様、アイデンティティを描くことに長けたチェン・ヨウジエ監督が5年ぶりにメガホンを取り、緻密で繊細なストーリーラインで愛の極限を描いた最新作『親愛なる君へ』が、7月23日より公開される。このほど、本作の予告編と場面写真がお披露目となった。
ミステリアスで重厚なサスペンス調の展開を匂わせつつ、徐々に真実が解き明かされていくと、温かな情感溢れる結末まで一気に導かれる本作。今は亡き同性パートナーの母と子との血の繋がりを越えた“家族”の絆を描く。
予告編では、同性パートナーが亡くなった後も、その母シウユー(チェン・シューファン)と息子ヨウユーと間借り人として一緒に住み、食事の支度など身の回りの世話をし続ける⻘年・ジエンイー(モー・ズーイー)の姿が映し出される。だが食卓を一緒に囲むことはなく、屋上で食事をする日々。シウユーに「私に尽くしたら、息子が生き返るとでも思っているの?」と嫌みを言われながらも、介護を続けていたある日、突然シウユーが急死する。本当に病死なのか?同性パートナーの弟や、警察までがジエンイーに疑いの目を向けるようになる。さらにセクシュアル・マイノリティへの偏見も加わり、ジエンイーからヨウユーが強制的に引き離されてしまう。「これからたくさん嫌なことや理不尽なことに出会うだろう。でも覚えていてくれ。永遠にお前を愛している」とヨウユーへ“家族”としての想いを伝え、なすがままに罪を受け入れようとするジエンイーだが…。
『親愛なる君へ』
7月23日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
監督・脚本:チェン・ヨウジエ
監修:ヤン・ヤーチェ
出演:モー・ズーイー ヤオ・チュエンヤオ チェン・シューファン バイ・ルンイン
配給:エスピーオー フィルモット
【ストーリー】 老婦・シウユー(チェン・シューファン)の介護と、その孫のヨウユーの面倒をひとりで見る青年・ジエンイー(モー・ズーイー)。血のつながりもなく、ただの間借り人のはずのジエンイーがそこまで尽くすのは、二人が今は亡き同性パートナーの家族だからだ。彼が暮らした家で生活し、彼が愛した家族を愛することが、ジエンイーにとって彼を想い続け、自分の人生の中で彼が生き続ける唯一の方法であり、彼への何よりの弔いになると感じていたからだ。しかしある日、シウユーが急死してしまう。病気の療養中だったとはいえ、その死因を巡り、ジエンイーは周囲から不審の目で見られるようになる。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、終いには裁判にかけられてしまう。だが弁解は一切せずに、なすがままに罪を受け入れようとするジエンイー。それはすべて、愛する“家族”を守りたい一心で選択したことだった…。
© 2020 FiLMOSA Production All rights