女は何故愛する男の前から消えたのか?“水の精”の神話を現代に置き換えて映画化『水を抱く女』予告編&ポスタービジュアル

第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した『東ベルリンから来た女』をはじめ、『あの日のように抱きしめて』、『未来を乗り換えた男』などで知られるドイツを代表する名匠クリスティアン・ペッツォルト監督最新作で、第70回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞をダブル受賞した『水を抱く女』が、3月26日より公開される。このほど、本作の予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

本作は、「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った美しき“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話をモチーフにした物語。この魅惑的な神話は、古くから多くのアーティストたちにインスピレーションを与えてきた。アンデルセンは童話「人魚姫」を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。またゲーテが「ドイツの真珠」と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説「ウンディーネ」は現代でも読み継がれており、近年、再評価される三島由紀夫の「仮面の告白」にも登場する。

予告編は、ベルリンの都市開発を研究する歴史家で、博物館でガイドとして働くウンディーネ(オンディーヌ)が恋人に別れを告げられ「愛していると言って。あなたを殺したくない」と答えるシーンから始まる。そしてクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)との衝撃的な出会い。激しく惹かれ合っていく二人だったが、ある日彼女は突然姿を消してしまう…。“その男は知らなかった。彼女の逃れられない宿命を”というナレーションが意味する彼女の切ない愛の形とは?二人の愛の行方が、バッハの旋律と水のようにたゆたう映像美とともに映し出される。

ポスタービジュアルには、「愛が終わるとき、哀しき殺意のとき」というコピーが配され、抱き合うウンディーネとクリストフの姿が収められる。

ジャン・ジロドゥの戯曲「オンディーヌ」から手塚治虫「七色いんこ」(「オンディーヌ」)、劇団四季「オンディーヌ」などが生まれるなど、天才たちを魅了し続けてきた物語を選んだ理由について、ペッツォルト監督は「『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』『未来を乗り換えた男』と同様に、本作は愛についての物語です。しかし、それら過去作は不可能な愛、傷ついた愛、あるいは発展を予想させる愛について語っています。今回は愛がどのように発展していき、心にどのように残っていくのかを描きたかったのです」と語る。

『水を抱く女』
3月26日(金)より、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:パウラ・ベーア フランツ・ロゴフスキ マリアム・ザリー ヤコブ・マッチェンツ
配給:彩プロ

【ストーリー】 ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ(パウラ・ベーア)。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)が現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合う二人だったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった…。

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