石野卓球「音楽も素晴らしい」、相沢梨紗(でんぱ組.inc)「私もシリアルキラーに…」著名人絶賛!『アングスト/不安』

1980年にオーストリアで実際に起きた殺人鬼ヴェルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を1983年に映画化し、日本では1988年にVHSレンタルされるも劇場公開はされなかった実録スリラー映画『アングスト/不安』が、7月3日より公開される。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

それまでジャンル映画が存在しなかった1983年にオーストリアで突然変異のように誕生した、あまりにも“異常”かつ“危険”な本作。刑務所出所後の殺人鬼=狂人が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を、凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて描く。狂人自身のモノローグで綴る構造や全編に徹底された陰鬱なトーンなど、作品自体が“異常”であり、他に類を見ない芸術性を発揮している。

▼著名人 絶賛コメント

■相沢梨紗(でんぱ組.inc)
2回続けて、日を置いてもう一度。同じ映画をこんなに短期間で繰り返し観たのは初めてでした。彼は私たちが空腹を感じて食事を取るくらいの感覚で、「殺人」について考え躊躇なく行動に移します。その衝動は怒りや悲しみ以上に、人間の持つ「欲望」が作用しているように感じました。この作品を観た人それぞれが、幾つもの嫌悪や悲壮感もしくは(あって欲しくないですが)共感を経験する事で、人の心の複雑さを思い知らされるのではないでしょうか。「感情<欲望」に心の針が触れてしまった時、私もシリアルキラーになってしまう可能性があるのか?どんな自分に正直に生きるのか?自分の感情や感覚を100%理解できるのは死ぬまで自分だけだと思っているので、今の自分が本当に正しい自分を選択できているのか?自分の心を疑い、闇の中を旅するような映画でした。

■石野卓球(DJ・プロデューサー)
すごい!カメラワークもK・シュルツの音楽も素晴らしい。1983年にこんなすごい作品が作られていたなんて…。

■氏家譲寿(ナマニク/映画評論家)
観る者の精神を狂人の思念と同化させる、唯一無二の“異常”な映画。観たら最後、貴方は本当の“異常”とは何なのか?を知り、壊れて、狂う。

■江戸木純(映画評論家)
いよいよ日本がこの、まさに埋もれていた傑作を発見するときがやってきた。覚悟して欲しい。これは、かなりの劇薬である。だがこれは、映画ファンなら一度は見なければならない映画史的にも重要な作品であることは間違いない。

■大石圭(作家)
非常にシンプルな作りだが、実に生々しい作品だ。カメラワークや音楽もよくて、臨場感と緊迫感が最初から最後まで持続していた。あまりにもリアリティがあるので、観ているあいだずっと、僕は掌に汗を滲ませていた。そして、いつの間にか、冷血な主人公に感情移入してしまった。危険な映画だ。

■小川泰平(犯罪ジャーナリスト)
日本の劇場で公開されることに驚きを隠せない。ホラー映画や刑事ドラマの域ではない。一見の価値あり!しかし覚悟して見るべき!

■小野寺系(映画評論家)
身勝手な男の凶行を疑似体験することで、その“人間味のなさ”に恐怖を覚える作品だが、ある時点から、やはり彼も同じ人間なんだと気づいたとき、今度はいままでにない“不安”を感じ始める。そこに、身近な現実に存在する暴力や、自分自身が持っている加害性との繋がりを発見するからである。

■桐生正幸(犯罪心理学者)
動機が分かり難い殺人ほど、犯人の感覚を通して現場を観察しなければならない。それが、21世紀の犯罪心理学の鉄則である。この映画は、過去の快楽殺人犯を描くことを目的とはしていない。なにしろ、生々しい快楽は、食事のシーンでしか描かれてはいないのだ。監督は、誰もが経験している、家族という逃げ場のない不安要素を、学者のように冷たく表現した。だから、この家族皆殺しの意味を、犯人の感覚で内省するよう、我々に迫ってくる。人殺しの動機を垣間見せるため、この映画は、実に用意周到に作られている。

■くれい響(映画評論家)
『ザ・バニシング-消失-』に続いて、掘り起こされてしまった激ヤバ案件!!だが、「それ」だけじゃないのが、世界中のクリエイターにとってカルト化されている所以である。

■高橋諭治(映画ライター)
殺人鬼の異常な凶行のみならず、窓ガラスの割り方や死体の引きずり方、画面に絶妙に映り込む犬の演技まで、あらゆる描写が凄い。しかも常識破りのカメラワークは、重力の法則から解き放たれたように超然と動き回っている。ひょっとするとこれは、悪魔の主観と神の眼がせめぎ合う別次元の恐怖映画なのかもしれない。

■人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
とにかく生々しく、映画というか画面越しにリアルタイムで殺人現場を覗いているかのようだ。何より恐ろしかったのが、「早く逃げて!」ではなく「早く捕まえろ!」と思ってしまったこと。気づけば殺人鬼側の立場で観てしまう。この映画は危険すぎる。封印されるのには、それなりの理由がある。

■真魚八重子(映画評論家)
アア、この繊細なカメラワークと張りつめた空気、好きにならずにいられない!ドキュメントタッチの語り、笑えるほどに凄惨な死、愛おしい犬。写るものすべてに魅了され、精神も状況も追いつめられた青年のあがきに打ち震える。音楽も最高!

■山崎圭司(映画ライター)
昭和末期のビデオバブルに黙殺され、実録犯罪映画史から破り取られた一頁。新タイトルでの開放はめでたいが、こんな極悪問題作がシャバに出て大丈夫だろうか。犬は無事だが、この殺戮に理屈はない。ひたすら不安だ。

■涌井次郎(ビデオマーケット店主)
初めに忘れないで頂きたいのは、今後の映画人生において、この映画を何かの比較対象の基準にしてはならないという事。この度の日本公開を知った時は思わず「ええっ!やっちゃっていいの!?」と声に出しておりました。本作が世間一般の目に晒されてしまった日には、ショックから立ち直るのに必死な方々のやるせない感情の矛先がホラー全般に向けられ、やり玉にあげられるのではないか…と、そんな不安もゼロでは無かったものの、実は心配なのはそこではありませんでした。この規格外の化け物じみた映画を、ましてやスクリーンで観てしまったらもう後には戻れない。その覚悟と準備が日本の映画ファンにはあるだろうか?という点こそが不安であり恐怖でもありました。かく言う自分も、本作を体験して以降、期待して観た話題のホラー映画にがっくり肩を落とすことの何と多くなってしまったことか。繰り返しますが『アングスト/不安』を価値基準にしないように。これに比べたら怖いとされるほとんど全ての映画が生ぬるく感じられますが、別にそれらが劣ってるわけではなくて、この映画が異常なんです。

※映画会社よりコメント
本作は、1980年にオーストリアで実際に起こった事件を描いております。当時の司法制度では裁ききれなかった為に発生した事象であり、本映画をきっかけとして以降大きく制度が変わりました。劇中、倫理的に許容しがたい設定、描写が含まれておりますが、すべて事実に基づいたものであります。本作は娯楽を趣旨としたホラー映画ではありません。特殊な撮影手法と奇抜な演出は観る者に取り返しのつかない心的外傷をおよぼす危険性があるため、この手の作品を好まない方、心臓の弱い方はご遠慮下さいますようお願い致します。またご鑑賞の際には自己責任において覚悟して劇場にご来場下さい。

『アングスト/不安』
7月3日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:ジェラルド・カーグル
音楽:クラウス・シュルツ
出演:アーウィン・レダー シルヴィア・ラベンレイター エディット・ロゼット ルドルフ・ゲッツ
配給:アンプラグド
<R15+>

【ストーリー】 刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出る。

©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion