「シティーハンター」を手掛けた漫画家・北条司が実写映画の総監督を初めて務め、松下奈緒、ディーン・フジオカらが出演する『エンジェルサイン』が、11月15日より公開される。このほど、10月5日にロケ地である熊本・南阿蘇の鶴屋百貨店にてトークショーが行われ、キャストの緒形直人、菊池桃子、落合賢監督、北条司総監督、企画を担当した堀江信彦が登壇した。
全5編のオムニバス映画を構成する一編であり、南阿蘇を舞台とした「別れと始まり」で台詞のない難役に取り組んだ緒形と菊池は、共演について「初共演から30年近く、何度かご一緒してきた仲。これまでもお互い惹かれ合う役が多かったので、今回も阿吽の呼吸で夫婦役を演じられました」と、目を合わせて笑顔。緒形は「自身の演技の原点にはテレビドラマ『北の国から』や映画『優駿 ORACION』で受けた杉田成道監督の教えがある」と語る。それは、演技は心を伝えるものであり、たとえ台詞がなくても表現し伝えなければならないというもの。「それがあったから、今回の台詞のない役も引き受けようと思った」とコメントした。また、今回の演技の参考になったものとして、良寛和尚の書で見たという言葉「君看双眼色(きみみよそうがんのいろ) 不語似無憂(かたらざればうれいなきににたり)」を引用し、「瞳だけで心を伝える、大げさではない演技をイメージしていた」と演技する上で意識したというポイントも明かした。
一方、菊池は出演理由を「新しいことに取り組む意欲と喜び」と語り、「キャリアを重ねるほど新たなチャレンジをする機会は減るため、今回の役は貴重と思い引き受けた」とコメントした。偶然にも、ロケ地となった阿蘇白川駅にあるカフェは、かつてこのお店のドキュメンタリー番組が製作された際、菊池がナレーションを担当したそうで、この駅で実際にカフェを営む、緒形と菊池のモデルとなった夫婦からおもてなしを受けるなど交流があり、そのことも役作りの参考にしたと明かした。
落合監督は、「堀江社長からこの映画のお話をうかがい、舞台となる南阿蘇の風景を観にすぐに熊本に飛びました」とオファーを振り返る。そして、オムニバス映画の一編のため、全体の流れに沿うよう「北条総監督とのコミュニケーションを密に取りながら撮りました」と制作を振り返った。
最後にこの映画を企画・立案した堀江は、「誰にでも、かけがえのないものを失ったことがあるはず。そんな人に観てほしい」とコメント。それを受けて北条総監督は、「生があって死がある。死があって生がある。そうやって命が受け継がれていく感覚。それを表現できればと思いながら撮りました」と映画に込めた想いを語った。
本トークショーは熊本復興支援を目的に、10月2日から6日にかけて開催された第3回熊本国際漫画祭のチャリティーイベントとして、『エンジェルサイン』先行試写会とともに企画されたもの。この5日間で集まった募金は、映画の製作委員会より、ロケ地となった南阿蘇鉄道に寄付される。
『エンジェルサイン』
11月15日(金)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて公開
総監督:北条司
監督:北条司 落合賢 ノンスィー・ニミブット ハム・トラン 旭正嗣 カミラ・アンディニ
企画:堀江信彦
主題歌:DEAN FUJIOKA「Chasing A Butterfly feat. Nao Matsushita」
出演:松下奈緒 ディーン・フジオカ 緒形直人 菊池桃子 佐藤二朗 プレオパン・パンイム ピポッブ・カモンケットソーポン ブンイン・インルアン ゴー・クアン・トゥアン スアン・ヴァン 坂井彩香 ニーンナラ・ブンビティパイシット メカトロウィーゴ トゥク・リフヌ・ウィカナ アビゲイル 吉田美佳子
配給:ノース・スターズ・ピクチャーズ
【ストーリー】 チェリストのアイカ(松下奈緒)とピアニストのタカヤ(ディーン・フジオカ)。音楽家で恋人同士の二人は、「いつか二人の音楽で、世界中の人々を感動させたい…」と、夢を追いかけていた。アルバイトをしながら曲作りに没頭するタカヤと、彼を見守るアイカ。しかし、「エンジェルサイン」というチェロとピアノの二重奏曲を作り上げた直後、タカヤは帰らぬ人となってしまう。アイカが、チェロのみで演奏する「エンジェルサイン」。やがて、その曲は世界に広まっていき…。
©「エンジェルサイン」製作委員会