昨年4月にテレビ東京で放送されたドラマ版が第56回ギャラクシー賞テレビ部門「奨励賞」を受賞した、「愛しのアイリーン」や「ザ・ワールド・イズ・マイン」などを手掛けた新井英樹による伝説の漫画を、池松壮亮、蒼井優共演で映画化する『宮本から君へ』が、9月27日より公開中。このほど、10月6日に角川シネマ有楽町にて公開記念トークイベントが行われ、原作者の新井英樹と実業家の堀江貴文が登壇した。
新井の原作は全て読了し、中でも「宮本から君へ」が好きと豪語する堀江は、開口一番、「1990年にモーニング(講談社)で連載をスタートした本作が、30年を経た今なぜ映画化となったんですか?」と質問。新井は「映画の企画は何度もあったんですが、実現しなかった。ようやく動き出した時、映画化を前提にしたドラマ化がスタートしました。なんですが、そのドラマ放送後に映画化の話が一旦消滅して、そこから奇跡の復活をしたんです」と映画化までの道のりが容易くなかったことを明かした。
連載当時から原作を読み、アマゾンやメルカリがない時代に単行本を買い揃えるのがいかに大変だったかという経験を熱く語るほどの原作ファンである堀江は、本作を鑑賞して「奇跡のキャスティング!」と称賛を贈り、「蒼井優が中野靖子を演じたことを考えると30年待った価値があった」と話す。新井は映画を観た際に、「蒼井さんの顔が、本当に中野靖子になっていて」と驚いたという。
また本作では、ラガーマンが恐ろしく見えてしまうほど、壮絶な事件が起きる。ラグビーが題材になっていることから、「ラグビーワールドカップ開催中タイミングでの公開は、狙ってましたか?」という堀江から質問が飛ぶと、新井は「偶然だけど、タイミングはバッチリ」と笑う。漫画には、新井が高校時代ラグビー部だった経験も生かされている。
そして、堀江から原作当時いかに本作がセンセーショナルだったかという話題を振られると、本作の宮本(池松壮亮)と靖子に起きる衝撃の事件について、新井は、当時の編集長から「靖子が襲われる物語を描かないか」と提案され、その誘惑に負けたと話す。「中野靖子、ごめん」と思いながらも、表現への挑戦として物語を描いているうちに、宮本がどんなに頑張っても靖子を救うことができないと悟り、絶対に二人を別れさせたくない一心で物語を紡いだが、新井の心が救われることはなかったという。だが本作撮影中、宮本が靖子にプロポーズするシーンで蒼井が「素で感動した」と発言したことで、新井は「25年間、ずっとごめん、中野靖子、と思っていた想いが、この蒼井さんの一言で救われた。この映画が完成したおかげ」と喜びをあらわにした。
最後に、堀江は「素晴らしい作品です。(最後の結末まで)全部知っている原作ファンが見てもハラハラして、感動する、むしろ知っていた方が楽しめる映画だと思います。ぜひ周りに宮本よかったと広めてほしい」とコメントし、新井も「(映画は)奇跡の出来になったと思います。ぜひ映画を広めてほしい」と力強く本作をPRした。
『宮本から君へ』
9月27日(金)新宿バルト9ほか全国公開中
監督:真利子哲也
原作:新井英樹「宮本から君へ」
脚本:真利子哲也 港岳彦
主題歌:宮本浩次「Do you remember?」(プロデュース:横山健&宮本浩次)
出演:池松壮亮 蒼井優 井浦新 一ノ瀬ワタル 柄本時生 星田英利 古舘寛治 ピエール瀧 佐藤二朗 松山ケンイチ
配給:スターサンズ KADOKAWA
【ストーリー】 文具メーカーで働く営業マン宮本浩(池松壮亮)は、笑顔がうまくつくれない、気の利いたお世辞も言えない、なのに、人一倍正義感が強い超不器用な人間。会社の先輩の友人である、自立した女・中野靖子(蒼井優)と恋に落ちた宮本は、靖子の自宅に呼ばれるが、そこに靖子の元彼・裕二(井浦新)が現れる。裕二を拒むため、宮本と寝たことを伝える靖子。怒りで靖子に手を出した裕二に対して、宮本は裕二に「この女は俺が守る」と言い放つ。この事件をきっかけに、心から結ばれた宮本と靖子には、ひとときの幸福の時間が訪れる。しかし、二人の間に、人生最大の試練が立ちはだかるのだった…。
©2019「宮本から君へ」製作委員会