【全起こし】ディーン・フジオカが女性を幸せにする方法を告白「相手に興味を持ち、そこに居やすいようにエスコート」映画『結婚』外国特派員協会 会見 全文掲載!

映画『結婚』の記者会見が6月20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会にて行われ、本作で主演の“結婚詐欺師・古海健児”役を演じたディーン・フジオカと、監督の西谷真一が登壇した。その模様を全文掲載でお届けする。

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ディーン:今夜はお越しくださいまして誠にありがとうございます。お招きいただき大変うれしく思います。皆さんフラッシュをたいてらっしゃるのでちょっと目が見えなくなってきたんですけども(笑)。ありがとうございます。

MC:それではQ&Aに移りたいと思います。私生活等の質問はご遠慮お願いします。映画に関連する質問でお願いします。またお一方一問とさせていただきます。もしかしたら監督に質問がないかもしれないので一問目は監督に質問をしていきましょう。西谷監督は過去に二回ほどディーンさんと共演されて、かなりいい関係を続けてらっしゃいますけども、今回のこの男はかなり悪い役ですが、なぜディーンさんがぴったりだと考えたのでしょうか。

西谷:NHKの連続テレビ小説『あさが来た』の衣装合わせでディーンさんにお会いしたときに、体がしびれるくらい興奮して、彼のファンになっちゃって、それがきっかけなんですよ。それが原動力となってその次の単発ドラマも作って、ディーンさんはやるたびにキャラクターになりきれて、どの役をやっても変わらないっていう役者さんいっぱいいる中で、ディーンさんは全部その役になりきれるという才能というか、まあ役者としては当然かもしれないですけど。また自分にも相当厳しい方で、今回はかなりフリ幅を広げて今までやったことない、市橋(『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』(’13)の市橋達也役)もかなり変わった役でしたけど、女性を虜にさせる色気を、男性の僕ですら感じるので、それを世の中に発信したいという気持ちで今回作らせていただきました。

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MC:それでは会場からも質問を募りたいと思います。

記者:おふたりに質問ですが、完成した作品を見てご自身で満足されているか、どんな感想を持たれたか教えてください。

西谷:まず僕から。僕は満足してます。(…会場爆笑)

ディーン:今回出演するにあたり、監督の思い描く役に100パーセント全力で注力したい。そういう気持ちで臨みました。意外なことに撮影が終わってポストプロダクションに入ったときに実際に映像を観たんですが、撮影中に思い描いていたものとだいぶ違うものになったと思うんですけど、想像外のものができ僕としても非常に満足です。

記者:すごくロマンチックで素敵だなと思ったのが、ピアノのシーンなんですけどもあれはスタントなしで全部ご自身でやられたんでしょうか?

ディーン:Yes, I did!

(会場から大きな拍手)

ディーン:全部自分でやりましたよ。技術的にすごく難しいシーンでした。撮り方って色々あると思うんですけど、初めて自分で曲を弾きながら、セリフをしゃべりながら、相手の役者さんのセリフを受けながらずっとピアノを弾いてるっていうミュージカルみたいなアプローチを始めてやったので、すごく集中力がいる難しいシーンでしたね。

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記者:今回監督が、「ディーンさんに騙される女性たちの幸せな表情も撮りたい」とプロダクションノートで語っていましたが、詐欺師を演じるにあたって共感性を見出すことは難しかったか。そして演技中にどのように女性を幸せにするようにしたのか教えていただきたいです。

ディーン:俳優のやっている実作業って、詐欺師に近いものがあると思ってます。求められた役を求められた場所で求められたタイミングでやる“プロフェッショナル”の仕事が俳優だとしたら、詐欺師というのは自分のエゴのために法律を破って人を傷つける。全く両極端ですけど、実際にやっていることは似ている部分があるなと思いながら撮影中も監督と話しながらやっていましたね。女性の幸せな顔を見るのが好きな気持ちって、あ、ごめんなさい質問なんでしたっけ。

記者:女性の幸せな顔をしっかり撮りたいっていうことだったんですけど、ディーンさんは、どういう風にしたら女性が幸せになると考えているのか。そして演技中にどのように女性を幸せにするようにしたのかということです。

ディーン:そうですね色々なテクニックを使いました。相手に対して好意を持つことが大事だと思うんですよね。好意っていうのはこの人を好きだなっていう気持ちからも、なんていうか興味を持つことですかね。「相手が何考えているのかな、今何がしたいのかな、どうしようとしているのかな」とか、相手がそこに居やすいようにエスコートしてあげるっていうことも大事なんだろうなって思うんですよね。ただ、相手を好きになって、相手を思う気持ちになってつなげようとするピュアな気持ちが、何故か結婚詐欺っていう犯罪にねじりがあって倒錯があって、そういう結果につながるっていうのがこの映画の作品として一番の肝だと思います。

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記者:監督に質問です。イギリスの精神心理学者でクリストファー・ゴロスという方がいるんですが、結婚というものは「大人になることを避ける、または逃れるための手段なんだ」と言ったそうです。監督は結婚という制度をどのように解釈していますか。

西谷:制度というか、結婚は僕自身の考えでは“癒し”ですね。それだけです。(僕は)何回か結婚してます。

(会場爆笑)

ディーン:(監督の言葉には)説得力があるでしょ(笑)。心あるところに故郷があるっていうことで。

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記者:ディーンさんに質問です。最も印象に残ったシーンを教えてください。観ていても演じていてでもいいので。

ディーン:もしかしたら派手なシーンとかには思えないかもしれないんですけど、神田駅の電車が走るガードレールの下のわき道を歩きながら携帯電話でしゃべって「違うじゃん」っていうシーンがあるんですけど、あそこを撮っているときに自分の中で、古海健児って役をやっていくスイッチみたいなものができ始めた感覚があったんですね。すごく不思議なんですよね。ただ歩いていて、ただ電話で喋っていて、電話を切って一人で歩きだすっていう、そういうシンプルなところにこの役とか映画の方向性を感じられた時間があったので、その後の古海健児って役を肉付けしていく作業もアイデアが出るようになって、自分にとってすごく印象的なシーンになってますね。

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記者:映画の方はかなり原作と違う部分がありまして、今回の結末をご覧になられて驚かれた方も多いと思うんですけど、いかがでしたでしょうか。ショックでしたかね。今回の映画を作るにあたって面白い脚色もされてると思うんですけど、どのようにしてあの展開を思いついたんでしょうか?

西谷:原作自体はすごく面白くて、井上荒野さんならではの本だと思ったんですけど…(以下、大きなネタバレにつながるので一部自粛しました)

記者:主題歌の「Permanent Vacation」、作詞作曲ディーン・フジオカさんなんですけど、撮影中なのか、撮影に入る前あるいは撮影後に作られたのかお聞きしたいです。

ディーン:“朝が来たときにきっとわからない”みたいな言葉を入れておいて、その後この役を演じている中でいろいろ現場で思いついた言葉とかを書き溜めてって、それで楽曲の製作をちゃんと始めたのは撮影が終わってからだったんですね。だからなんとなく“朝が来たらどこへ向かうのか、朝が来たらどこへ向かうのか、朝が来たらどこへ向かうのか”とずっと言っていたのが曲のコーラスになっていて。古海健児の独白みたいなものを作りたかったんですね。映画は古海健児を客観的に見ている女性の目線で描かれていたので、最後に彼の心の中でどのような気象現象、感情の流れがあったのかっていうのを表すことで、最初にこの映画を締めてほしいっていう課題だけをいただいてたんで、その形であればこの映画のエンドロールでスタッフの皆さんの名前が流れるところに曲がかかって、映画がつないできたストーリーに合致して、バトンタッチしてそのまま曲の終わりでひとつの話として結末を迎えるっていうところになるかなと思いました。歌詞に関してはそんな感じです。

MC:ありがとうございます。ご登壇いただいたお二人には一年間外国特派員協会の名誉会員になっていただきます。ありがとうございました。

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『結婚』
2017年6月24日(土)全国ロードショー
原作:井上荒野「結婚」(角川文庫刊)
監督:西谷真一 脚本:尾崎将也
出演:ディーン・フジオカ 柊子 中村映里子 松本若菜 安藤玉恵 古舘寛治 萬田久子 貫地谷しほり
主題歌:DEAN FUJIOKA「Permanent Vacation」(A-Sketch)
配給:KADOKAWA

(c)2017「結婚」製作委員会