大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した、渡辺一史による書籍「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」の実写化となる、大泉洋主演、高畑充希、三浦春馬共演の映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』が12月28日より公開される。このほど、12月27日に丸の内ピカデリーにて公開前夜祭が行われ、キャストの大泉洋、高畑充希、三浦春馬、前田哲監督が登壇した。
明日に公開を控え、前夜祭となる今回の舞台挨拶に登場したキャスト陣と監督。初めに大泉は、「いよいよ明日から公開になるということで、並々ならぬ気合いで撮影をいたしまして、並々ならぬ気合いで宣伝活動をして参りました!」と気合いたっぷりに挨拶した。
公開前夜祭の前日である12月26日は、存命であれば鹿野の59歳の誕生日。鹿野の生き様から受けた影響は?という質問に、医大生ボランティア・久を演じた三浦は「自分の心の壁を解いていくという大切さや難しさを越えた先に、人と人との関係性を築けることの素晴らしさを未来に見て、自分の大切な人となりうる人と歩んでいけたら、すごく幸せなんじゃないかなと感じさせられました」と回答。新人ボランティア・美咲役の高畑は、「鹿野さんを見て思ったのは、別にいい人でいなくてもいいなと思いました」と明かし、「年齢を重ねていくと、人とはできるだけ平和にいろいろなことを進めたいなと思っちゃうんですけど、いい人がベストではないなと。ぶつかる勇気をもらえた気がします」とコメントした。
主人公・鹿野を演じた大泉は、「娘に唯一何を教育しますか?と言われたら、今までは“人に迷惑をかけるんじゃないよ”と言っていたと思うんだけど、鹿野さんを演じて思ったのは、台詞にもありますけど、『だって、できないんだから仕方ないじゃない』と。自分ではできないけど、助けてくれたらできるのなら、人にお願いして諦めなくてもいいんじゃないか」と感じたと明かし、「だから、娘には“助けてほしいことがあったら助けてもらいな”と。その代わり、助けてあげられる人になってほしいなと思うし、僕はこの歳だけど、これからでもそういう人になれたらいいな」と、本作から自身の考えが変わるほど大きな影響を受けたと語った。また、劇中での鹿野はわがまま放題ということにちなんで、今だから言いたいわがままは?という質問に、大泉は「歌が好きな(三浦と高畑と)3人でカラオケに行って、周り関係なくただただ歌い上げたい」と答えていた。
イベントの終盤には、バナナジュースが入った酒樽で鏡開きが行われ、本作の大ヒットを祈願。映画の公開を祝し、三浦による挨拶で乾杯した。一気にバナナジュースを飲み干した大泉は、「超うまい!バナナジュース最高!」と満足気に笑顔を見せていた。
最後に、大泉は「鹿野さんが言い続けていたわがままは、動けない人たちの代弁だったと思うんです。人に迷惑をかけないということが一番美徳とされているこの国で、それだけじゃないのかもなという考えが少し伝わればいいなと思いますし、皆さんが考えるきっかけになればと思います。この映画が同じ障害を持つ皆さんのためになればいいなと願っております」と力強くメッセージを伝え、舞台挨拶は幕を閉じた。
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
12月28日(金)全国ロードショー
監督:前田哲
原作:渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」(文春文庫刊)
脚本:橋本裕志
主題歌:「フラワー」ポルノグラフィティ(SMEレコーズ)
出演:大泉洋 高畑充希 三浦春馬 萩原聖人 渡辺真起子 宇野祥平 韓英恵 竜雷太 綾戸智恵 佐藤浩市 原田美枝子
配給:松竹
【ストーリー】 札幌で暮らす鹿野靖明(大泉洋)は幼少から難病の筋ジストロフィーを患い、車いす生活。体で動かせるのは首と手だけで、介助なしでは生きられないのに病院を飛び出し、ボランティアたちと自立生活を送っていた。夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出すワガママな彼に、医大生ボランティアの田中(三浦春馬)は振り回される日々。しかも恋人の美咲(高畑充希)に一目ぼれした鹿野から、代わりに愛の告白まで頼まれる始末!最初は面食らう美咲だが、鹿野やボランティアたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。そんなある日、鹿野が突然倒れ、命の危機を迎えてしまう…。
©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会