『ゲルマニウムの夜』『さよなら渓谷』など国内外で高く評価されてきた大森立嗣監督の最新作『タロウのバカ』が2019年に公開となる。このほど、本作の主演をインスタグラマーでモデルとしても活躍しているYOSHIが務めることが発表された。
本作は、一度も学校に行ったことがない少年タロウの物語。大森監督は、常識の枠にとらわれない少年という難しい役どころの主人公タロウ役を選ぶため、プロダクション所属の有無は問わず、多くの俳優や若者たちを対象にオーディションを実施。イメージ通りの人物がなかなか見つからない中、監督が以前からその存在を気にかけていたモデルのYOSHIにアプローチし、タロウ役に抜擢した。
YOSHIはインスタグラマーでモデルとしても活躍している15歳。中学生の時に、カニエ・ウェストのクリエイティブディレクターで、建築家、グラフィックデザイナーなど複数の肩書を持ち、今年ルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任したヴァージル・アブローと出会い、彼が手掛けるストリート・ファッションブランド「OFF-WHITE(オフ・ホワイト)」のモデルをはじめ、その後も「HELMUT LANG(ヘルムート・ラング)」、「X-GIRL(エックス・ガール)」、「NIKE(ナイキ)」など世界的ファッションブランドのモデルを務めた。今年8月に雑誌「Forbes JAPAN」が開催した、アートからビジネス、スポーツにサイエンスまで、次代を担う30歳未満のイノベーター30人を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN」の「The Arts」部門にて、その1人に選出された。
YOSHIは演技未経験であるため、撮影に入るまでに大森監督からの演技指導と入念なリハーサルが行われた。本作は9月中旬にクランクインし、現在撮影中だ。
■YOSHI コメント
この話を頂いたとき、台本の内容も強烈だったので、家族には最初は反対されたんですが、僕の気持ちとしては今回、興味本位でやってみる、って感じですね。演技自体が初めてですが、不安よりも楽しみの方が大きいです。でも、一発目が主役となるとプレッシャーはすごいです。演じることがどういうことかは、まだわからないところが多いんですけど、自分のできる限りの表現をしていきたいと思っています。大森監督の第一印象は“変態”ですね(笑)。僕は「男は変態であるべき」って勝手に思ってるんですよ。そっちの方がかっこいいんじゃないかって、男として。映画の完成が今から楽しみですが、とにかく、頑張ります!自分の座右の銘は「今、この瞬間を生きろ」です。
■大森立嗣監督
今回主役に選んだのは演技経験の全くないYOSHIという15歳の少年です。300人以上の中から選ばれた少年です。でも500人に会っても千人に会っても、出会えなかったかもしれません。これまで映画をやってきてこんな子供を見たことがありません。私にとって彼は純粋な驚きでした。決して物分かりのいい、躾のできた、行儀のいい子供ではないです。だからこそ彼は今この世界で闘っています。僕はここにいると叫んでいます。僕は振り向かない。振り向くのはあなたたちだと言っているようです。彼の純粋な眼差し、未完成な体で駆け回る姿、叫び、笑い、涙する姿がこの映画に命を注ぎ込みます。彼の純度がスクリーンを通してやがて観客に、感動を呼び込むと確信しています。
『タロウのバカ』
2019年 公開
監督:大森立嗣
出演:YOSHI
配給:東京テアトル