岩井ジョニ男と村上佳菜子が登壇!『追想』公開記念トークショー レポート

「アムステルダム」でブッカー賞を受賞し、数多くの話題作を生み出しているベストセラー作家イアン・マキューアンの小説「初夜」を、シアーシャ・ローナン主演で映画化した『追想』が8月10日より公開される。このほど、7月25日に東京・神楽座にて公開記念トークショーが行われ、特別ゲストとして芸人の岩井ジョニ男と、プロフィギュアスケーターの村上佳菜子が登壇した。

若い男女の恋物語にちなんで、いまインスタグラムで若い女性に圧倒的な人気を誇る芸人・岩井ジョニ男(イワイガワ)と主人公の男女と同世代であるプロフィギュアスケーターの村上佳菜子によるスペシャルトークが行われ、理想の夫婦像や恋愛観などについて語られた。

村上は物語で描かれる1960年代をイメージしたというクラシカルなブルーのワンピースで登場。一方、ジョニ男は「埼玉のリサイクルショップで買った」というこちらもクラシカルな1970年代風のスーツを見事に着こなして登場し、開口一番「ナイストゥーミチュー」と得意のネタで村上と握手するかと思いきや、指を立てて「東急ハンズ!」と細かいギャグを散らして会場の笑いを誘う。

映画について村上は「いろんなことを考えさせられる映画でした。『好き』という気持ちだけじゃうまくいかないんだな…と思ってしまいました」としみじみ。ジョニ男は「美しくて切なく、そして儚い。私の青春時代を思い出しました」と感想を口にした。恋愛に関して共感した部分を問われると、村上はちょっとしたボタンの掛け違いで運命を違えていく2人に感じることがあったようで「私はアスリートとして毎日、追い込んだ生活を送っていたので、いまでもつい追い込んでしまう自分がいます。そういうところで、なかなか男性と噛み合わない部分が出てきて、もどかしいと思うところはあります」と語った。

いまでも東京と地元の名古屋を行き来しながら練習し、毎日2時間、ジムで汗を流すというストイックな日々を送っていることを明かしたが、そうすると、なかなか男性との時間が入り込む余裕がないようで「わかり合えないし、食事などもストイックになってしまって…(苦笑)」と悩みを口にした。そんな村上への恋のアドバイスを求められたジョニ男は「女性は海で、男性は船みたいなものが恋愛だと思います」と昭和の男らしい(?)恋愛観を口にし「翻弄されるのが恋愛の醍醐味。波を立てたり、時には凪になって『あれ?どうしたのかな?』と思わせたり」となんとも深~いアドバイス。

ジョニ男から「愛されたいか?」それとも「愛したいか?」を問われた村上は「愛されたいですね」と即答。するとジョニ男は「じゃあ、私みたいなおじさんが一番いいんじゃないでしょうか?」とアドバイスにかこつけて、すかさず自らをアピールし、会場は笑いに包まれた。そんなジョニ男だが、実は結婚しており、来年で結婚20周年を迎え、高校生になる娘を持つ父親でもある。夫婦円満の秘訣を尋ねられると「とにかく気を遣って、『親しき中にも礼儀あり』で、朝の挨拶『行ってきます』や『お帰りなさい』をちゃんとする。なぁなぁにならない。それくらいの距離感のほうがいいです」と語る。ちなみに結婚に至るまでにも壮絶なドラマがあったそうで「高校の頃から付き合ってたんですが、僕は厳格な父の下に生まれ、女性を家に連れて行くなんてできなかったんです。たまたま、父がいない日に家に連れて行ったら、父が帰ってきちゃって、それから喧嘩になって、嵐の夜に駆け落ちしました」と告白。「そのまま家出して、10年付き合って結婚して今に至ります。反対されると燃え上がるんですよ」と語り、この衝撃エピソードに村上も驚いた様子だった。

一方、村上は、結婚願望は「すごくあります!」と語り「30歳までに結婚して、子どもは3人くらいほしいです」とライフプランを明かす。「理想の相手は、互いに高めあい、尊敬しあえる相手」と語ったが、これにジョニ男が「それがなかなか難しいんだよ(笑)」とぼそり。「生活の中でいろんなことを見せていかないといけないからね。私も妻のパンツを畳んでるんで…」と結婚19年目の生活臭を感じさせ、会場は再び笑いに包まれていた。

また、タイトルにちなんで、いまでも思い返してしまう人やモノについて尋ねられると、村上は現役時代の山田満知子コーチの存在を上げ「現役時代は毎日一緒でしたけど、いまは会う機会がほとんどなくなってしまい、でも『何してるかな?』と先生のことをいつも思っていますし、電話したりします」と明かす。ジョニ男は「妻のお義父さまが、結婚する前に亡くなってしまったんですが、1回だけ飲んだことがあって、自宅に呼んでいただいてレモンサワーセットをふるまってくださったんです。いまでも妻がその味を引き継いで、出してくれるんですが、お義父さんを思い出して飲んでいます」とニッコリ。時折、昭和なギャグを挟みつつ、しみじみと聞き入らせる華麗なるトーク術で観客の心をしっかりと鷲づかみにしていた。

『追想』
8月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー
監督:ドミニク・クック
脚本・原作:イアン・マキューアン「初夜」(新潮クレスト・ブックス刊)
出演:シアーシャ・ローナン ビリー・ハウル エミリー・ワトソン アンヌ=マリー・ダフ サミュエル・ウェスト
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

【ストーリー】 1962年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な空気が社会を包んでいた。そんななか、若きバイオリニストのフローレンスは歴史学者を目指すエドワードと恋に落ち、人生をともに歩むことを決意する。結婚式を無事に終えた2人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。しかし、ホテルで2人きりになると、初夜を迎える緊張と興奮から、雰囲気は気まずくなるばかり。ついに口論となり、フローレンスはホテルを飛び出してしまうのだった。家庭環境や生い立ちがまるで違う2人であっても深く愛し合っていたが、愛しているからこそ生じてしまった“ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにとって、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終が明かされる…。

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