「怖い絵」展の仕掛け人、中野京子よりコメント!『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』場面写真

球根1つの値段が邸宅1軒分の価値であった世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップバブル」を背景に、若き肖像画家とその依頼主の妻との愛と運命を描いた物語『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』が10月6日より公開となる。このほど、出版当初から大反響となり、シリーズ化されるまでの大ベストセラーとなった「怖い絵」の著者で、昨年東京で開催され41万人以上の来場者数を記録した「怖い絵」展の監修も務めた作家・西洋文化史家の中野京子より本作へコメントが寄せられた。併せて、新場面写真がお披露目となった。

本作は、原作者デボラ・モガーの「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という思いから生まれたベストセラー小説を、『ブーリン家の姉妹』のジャスティン・チャドウィック監督と『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞を受賞したトム・ストッパードの脚本により映画化。肖像画を依頼した夫婦の妻ソフィアを演じるのは、アリシア・ヴィキャンデル。「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装やフェルメール・ブルーのドレスをまとい、清楚だが身の内に熱い想いを秘めた女性を体現している。若く美しい画家のヤンには、『アメイジング・スパイダーマン2』のデイン・デハーン。そのほか、夫のコルネリス役にクリストフ・ヴァルツ、チューリップを栽培する修道院の院長役にジュディ・デンチらオスカー俳優たちが出演する。

■中野京子(作家・西洋文化史家) コメント
フェルメールは今でこそ人気画家ですが、生前はデルフトという町とその近辺で知られていただけでした。作品数は極端に少なく、自画像もなく、死後は完全に忘れられました。再発見されたのは2世紀も経ってからです。今なお謎めいた画家のままで作品を通してしか彼に触れることはできません。この映画のカメラはフェルメール世界へのオマージュに満ちています。窓辺で手紙を読む女性、鮮やかなブルーのドレス、女主人と女中の密やかな共犯関係、扉から覗き見するようなアングル、薄暗い室内に差し込む弱い光。どれもとても美しく聖性に満ち、外部の「チューリップ・フィーバー」との対比が鮮烈で、見どころですね。

『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』
10月6日(土)より新宿バルト9他、全国ロードショー
監督:ジャスティン・チャドウィック
原作:デボラ・モガー
脚本:デボラ・モガー トム・ストッパード
出演:アリシア・ヴィキャンデル デイン・デハーン ジュディ・デンチ クリストフ・ヴァルツ
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 スペインから独立し「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。希少な品種の球根1個が邸宅1軒分に相当し、世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップバブル」がピークを迎えていた。親子のように年の離れた、裕福なコルネリスと結婚したソフィア。二人の間に燃えるような愛はなかったが、孤児となり修道院で育った彼女にとって、それは初めて味わう豊かで安定した暮らしだった。夫は優しく特に不満もなかったが、彼が切望する跡継ぎができないことが、唯一の悩みだった。そんななか、夫が夫婦の肖像画を、無名の画家のヤンに依頼する。キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアが、恋におちるのに時間はかからなかった。若く情熱的な画家と、許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、ある計画を思いつく。しかし、ヤンが二人の未来のために、希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、思わぬ運命が立ちはだかる―。

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