片桐監督「健太郎にこの役をやって欲しいと思っていた」『ルームロンダリング』上海国際映画祭 舞台挨拶レポート

映画企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」で全474企画の中から準グランプリを受賞した企画を池田エライザ主演で映画化した『ルームロンダリング』が7月7日より全国ロードショーとなる。このほど、現地時間6月24日、本作の第21回上海国際映画祭パノラマ部門への出品を受け、片桐健滋監督が現地へ渡航し、満席の中、舞台挨拶を行った。

本編を観終わった直後の上海の観客の前に登場した片桐監督、まずは「いろいろな映画がある中、この映画を選んでくださって、ありがとうございます」と挨拶。この日の上映のチケットは発売から即日売り切れ、約500席の会場が満席となった。集まった観客が、本作に出演しているオダギリジョーと自分の名前が似ているので、間違えて来たのではないかと思い、「オダギリさんがいなくてすみません」と監督がジョークを飛ばす場面も。続いて「日本では7月7日公開なので、僕にとっては、ほぼはじめてのお客様が上海の皆さまとなります」と感慨深く語った。

司会者が「実はこの映画はホラー映画のようにみえるんですけども、皆さん、たくさん笑ってくださいました」と語るように、場内からは終始笑いが漏れた。続けて「この物語を考えている時、何か特別な構想などありましたか?」と質問されると、監督は「映画の冒頭は怖いシーン。でも、観ている間になんだか不思議な話が始まって、最後にはお母さんと娘のほっこりとした話で終わりたいなという構想が初めにありました。幽霊が見えるというマイナスポイントは、幽霊が見えるからこそ自分のプラスの能力に捉えられる女の子の成長劇として、まわりに面白い個性的なキャラクターの幽霊たちをおいてコメディにしたつもりです」と答えた。司会者から「遊び心のある方とお見受けしました」と返されると、「遊び心は随所に入れたつもりです。人が自殺してたり、殺されてたりする話ですが、僕はお客さんが暗い気持ちで観るのが好きじゃないので、暗い話だけれど、あったかい気持ちになって劇場を出てもらえる仕掛けは考えたつもりです」と笑顔で答えた。

続いて、会場にいた健太郎のファンから日本語で「こわいけど面白かった。健太郎さんがこの映画に出れて嬉しいと思います。健太郎さんの評価を聞いてみたいです」との質問を受けると、「健太郎くんは脚本を梅本さんと書き上げている時に、別の映画のオーディションで会いました。そのオーディションで健太郎くんは落ちてしまったのですが、僕はこの役を彼にやって欲しいとなぜか思っていたんです」と振り返り、現場での様子を、「お芝居のうまい人が回りにたくさんいる中で、受けるお芝居を上手にやってくれて、いつものカッコいい感じではなくて、かわいい感じにまとてめてくれたなぁと思っています。これからたくさんの作品に出て、きっと来年の上海には彼が来るのではないかと思います。どうぞ応援してあげてください」と語った。

別の観客から「この映画の中には中華レストランが出てきますね。なせでしょう?」と聞かれると、「コンビニエンスストアの店員さんも中国人の設定なんですね。日本には中国の方がとても多く住んでいらっしゃるし、他の外国の方もいらっしゃるので、今現在を切り取るならそういうことかなと思いました。ちなみに中華料理は好きです」と話した。「中華料理はどんなものが好きですか?」と聞かれると、一言「ショーロンポー」とつぶやき、場内の笑いを誘い舞台挨拶を締めくくった。

『ルームロンダリング』
7月7日(土)より新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋他全国ロードショー
監督:片桐健滋
脚本:片桐健滋 梅本竜矢
出演:池田エライザ 渋川清彦 健太郎 光宗薫 オダギリジョー
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 5歳で父親と死別し、その翌年には母親が失踪してしまった八雲御子(池田エライザ)。その後は祖母に引き取られたが、18歳になると祖母も亡くなり天涯孤独に。度重なる不幸で自分の殻に閉じこもってしまった御子のところへ、母親の弟である雷土悟郎(オダギリジョー)が現れ、住む場所とアルバイトを用意してくれることに。しかし、そのアルバイトとは、訳アリ物件に自分が住むことによって“物件を浄化する”というルームロンダリングだった。ルームロンダリングを始めて以来、幽霊が見えるようになった御子。幽霊と奇妙な共同生活を送る中、御子は失踪した母親との再会を果たすが…。

©2018「ルームロンダリング」製作委員会