心に孤独を抱えてしまった女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いた映画『猫は抱くもの』が6月23日に公開初日を迎え、翌日の24日に109シネマズ二子玉川にて行われた特別舞台挨拶に、プロデューサー役の柿澤勇人、劇中のアイドルグループ「サニーズ」の3人(佐藤乃莉、末永百合恵、林田岬優)、作曲を担当した益田トッシュ、監督の犬童一心が登壇した。
本作のエンタメ要素に着目したという今回の舞台挨拶。会場の近所に住んでいるという犬童監督は「映画が封切られてすぐに観ようとする気持ちがだんだんなくなってきている。わざわざ2日目に観に来ていただいて本当にありがたいです」と観客に感謝した。
MCから“舞台の貴公子”という紹介を受けた柿澤は「どうも。舞台の貴公子、柿澤です」と冗談まじりに挨拶しつつ、「あんまり言われないんですけどね。10年ぐらい前までは言われていたんですけど(笑)」と照れ笑い。すぐさま犬童監督から「それ聞いて言いたくなってきた(笑)」とツッコまれ、「やめてください(笑)、恐縮です…」と恥ずかしそうにうつむいた。
犬童監督は、沢尻エリカ演じる沙織が所属していた劇中のアイドルグループ「サニーズ」について、90年代のアイドルや、韓国のグループの映像を観て参考にしたそう。「昔は作曲を坂本龍一さんや、山下達郎さんに依頼していたので、例えば山下達郎さんに作曲を依頼したらどうなるのか」というように、イメージを膨らませていったという。
「サニーズ」は仕上がっていたというプロデューサー役の柿澤。「すごいチームワークで、僕と吉沢(亮)くんは、蚊帳の外で…(笑)」と、控室での会話に全く入っていけなかったことを告白。大柄な老人の体型を形作るために着肉をつけていたという柿澤は、「サングラスをして、白髪で付け髭。結構いかつい感じ。他のアイドルの方たちとスタジオで撮影するシーンがあったのですが、皆んな僕のことを見て見ぬふりをするんですよ(笑)」と現場での悲しい裏話も明かした。
本作で沢尻とのキスシーンに挑んだという柿澤は、映画でのキスシーンは初めてだという。「キスシーンは舞台でも一大イベント。映像の場合どうすればいいんだろう…」と悩みつつも「沢尻さんは百戦錬磨のすてきな女優さん。『こいつビビってるな?』と思われるのも嫌だったので、リハーサルの時から、ガッツかせていただきました」と笑顔で語った。
イベントにはサニーズの「ロマンス交差点」を作曲した益田トッシュもスペシャルゲストで登場。「サニーズは最高。皆んなが一生懸命やってくれて。本当にありがたかった」とサニーズ役の三人に感謝した。そんなサニーズのひとりを演じた林田は、皆んなで話し合って、それぞれのキャラに対応したキャッチコピーを考えたという。「撮影前にそれを発表したら、監督が『そのまま映画に使おう』」という話になったそう。この流れでキャッチコピーを生で披露することになり、沢尻の部分は柿澤が担当することに。佐藤から「トロピカルミルキー、ミルミルです」、末永が「ラブリン星からやってきたリンリンです」、林田の「ラッキー、ハッピー、トッキー、トッキーです!」に続き、柿澤も「ツンデレ、デレヌキ、ましまし、カッキーです!」と全力で挨拶。最後は全員で「We are サニーズ !」と叫んで会場から大喝采を受けていた。
『猫は抱くもの』
6月23日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:犬童一心
脚本:高田亮
原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) 岩松了 藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 柿澤勇人
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサー女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。嬉しかったこと、哀しかったこと、腹が立ったこと…。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会