瀬々敬久監督が上海の観客とQ&A『友罪』第21回上海国際映画祭 上映レポート

デビュー作「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞した注目のミステリー作家、薬丸岳が2013年に発表した同名小説を原作に、『64-ロクヨンー前編/後編』の瀬々敬久監督が映画化した『友罪』が5月25日より公開中。このほど、現地時間6月20日に第21回上海国際映画祭にて、NEW FROM AUTHOR(作家性の高い監督の新作を上映/非コンペ)部門に正式出品された本作(英題:My Friend “A”)の上映とQ&Aが行われ、瀬々敬久監督が登壇した。

当日は、1,000人という上海国際映画祭で最大級のキャパシティを誇るメインスクリーンの「上海大劇院」が若い男女を中心に満席となる賑わいを見せ、上映中はのめり込んで鑑賞していた観客が声をあげて反応する場面なども見られ、エンドロールに入ると会場は大きな拍手に包まれた。その後、瀬々敬久監督が登壇し、観客とのQ&Aが行われた。

瀬々敬久監督 Q&A

瀬々監督:今日この日、日本と上海の両国でこの『友罪』という映画が上映されていることがとても嬉しいです。ありがとうございます!

観客:地方から『友罪』を観るために映画祭に来ました。とても素晴らしかったです!(場内拍手)監督の最も好きなシーンは?

瀬々監督:益田が「外でお酒でも飲もうか」と鈴木を誘い、「コンビニでつまみでも買って」と応える鈴木のシーンです。さりげないシーンですが、普通の人にもあるようなかけがえのない時間がそこには流れている気がしました。こういう素敵な時間が、犯罪者や色々つらい思いをした人たちを救ってくれるのではないか、その一方で罪を犯した人がこういったかけがえのない素敵な時間を自分は被害者から奪ったのだと反省をする機会にもなると思いました。素敵な時間を大切にしてください!

観客:日本国内での評判も良いようですが、監督ご自身はマスコミなどの評価についてどう思われますか?

瀬々監督:すごく難しい質問です(苦笑)。マスコミの方の評価も大切ですが、僕含めスタッフは沢山のお客さんに観て欲しくて作っていますし、沢山のお客さんに感動してもらえたらという気持ちで作っています。だから今日もここにいる上海のお客さんと出会えてすごくうれしいです。(場内席を立って拍手を送る人も)

観客:この映画のキャラクターは皆罪を背負っていますが、監督は罪を負った人々も幸せを得るべきだと思いますか?

瀬々監督:罪を背負った人たちもふとした時に笑ったり出会いがあったり、悲しんだり喜んだりするのが人生だと思います。でも罪は背負い続けながら生き続けなくてはいけない。矛盾しているようですが、そうして生きていくことが大切だと思います。

『友罪』
5月25日(金)より全国ロードショー中
監督:瀬々敬久
出演:生田斗真 瑛太 佐藤浩市 夏帆 山本美月 富田靖子 奥野瑛太 飯田芳 小市慢太郎 矢島健一 青木崇高 忍成修吾 西田尚美 村上淳 片岡礼子 石田法嗣 北浦愛 坂井真紀 古舘寛治 宇野祥平 大西信満 渡辺真起子 光石研
配給:ギャガ

【ストーリー】 ある町工場で働き始めた、元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。共通点は何も無かった二人だが、同じ寮で暮らすうちに少しずつ友情を育ててゆく。そんな折、彼らが住む町の近くで児童殺人事件が起こり、世間では17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘される。当時14歳だった犯人の少年Aはすでに出所しており、その後の行方を知る者は少ない。果たして今回の事件も彼の犯行なのか…。驚きと疑問に突き動かされ、ネットに拡散していた少年Aの写真を見た益田は愕然とする。そこにはまだ幼さの残る鈴木が写っていた―。

(c)薬丸 岳/集英社 (c)2018映画「友罪」製作委員会