高坂希太郎監督の最新アニメーション作である劇場版『若おかみは小学生!』が9月21日より公開となる。このほど、現地時間6月14日に、フランスで開催中の「アヌシー国際アニメーション映画祭2018」(6月11日~16日開催)にてコンペティション長編部門に正式出品された本作の上映が行われ、高坂希太郎監督、齋藤雅弘プロデューサーが舞台挨拶に登壇した。
本作は、交通事故で両親を亡くし、祖母の温泉旅館「春の屋」で暮らすことになった小学6年生の女の子・おっこ(関織子)が、ユーレイのウリ坊(立売誠)やライバルの秋野真月に助けられながら、若おかみとして毎日奮闘する姿を描く。
アヌシー国際アニメーション映画祭は、毎年、国内外の約230作品が上映され、来場者は約12万人を記録するという、アニメーション映画祭としては世界最大規模を誇る映画祭として知られている。正式出品決定の際、高坂監督は「私的には初の長編映画です。しかも女児向けで“カワイイ”が大きなファクターであるこの手の題材は、今まで接した事が無く、大きなチャレンジでした。日本より先ずフランスで、どの様な評価を頂くのか、スタッフ共々興味が止みません!」と、喜びと共に初の長編映画への挑戦に期待と不安が入り交じる胸中を明かしていた。
本映画祭での上映前の舞台挨拶には、高坂監督はプロデューサーの齋藤雅弘と共に登壇し、「自分自身のことよりも人のために尽くしながら成長していく物語」が他の日本アニメ映画と違うポイントと紹介。齋藤プロデューサーは「約4年前に監督が描いてくださったイラストをみて演出もお願いしました。映像の隅々にまで監督の気持ちが詰まっているので見逃さないでください」と挨拶した。
上映前は、アヌシー映画祭の名物ともいえる、高揚した観客が紙飛行機を多数飛ばす大盛況ぶりをみせ、いざ上映が始まると、945席満席の会場が、高坂監督の描く深みのある世界観に魅了された。また、主人公おっこ(関織子)のひたむきな姿に時に笑い、時に鼻をすする音や涙する観客の姿が目立った。約90分の上映後には多くの観客が拍手で監督へ賛辞を贈り、高坂監督は「緊張した」と振り返りながら、温かな反応に感謝の意を示した。
本作は、昨年同映画祭でクリスタル賞(グランプリ)を受賞した湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』、審査員賞を受賞した片渕須直監督の『この世界の片隅に』と同様に受賞の期待がかかる。授賞式は6月16日に行われる。
■高坂希太郎監督 コメント
同業の自転車仲間の友人からの紹介で、是非イメージイラストを描いてくれないかと参加したのがきっかけです。この話は日本でよく作られる、自分の気持ちをわかってほしいというような自分の感情の手当てを描いた作品というよりも、仕事が自分を作るとか我を忘れて仕事するといったような、自分の事よりも、人のために尽くしていくことで成長していくというような物語に興味を持ちました。
■齋藤雅弘プロデューサー コメント
映像に関しては監督の言うことが全てなので企画の成り立ちについて話したいと思います。紹介されているイラストは4~5年前に描いたものです。これを見て高坂さんに監督を依頼しました。その話をしたのが荻窪の小さなカフェでした。それから4年ほどたち、監督とこの絵と共に東京を飛び出し、アヌシーにいるというのが信じられない気持ちです。本編隅々にまで監督の気持ちが入った映画なので片時も見逃さないようにしてほしいです。ありがとうございました!!
■現地観客の感想&コメント
●作品はとても素晴らしかったです。
●日本のアニメーションみるたびに驚かされます。作品に込めた細やかなディテールの描き方が信じられないくらい美しい。物語もよかったです。
●主人公の女の子と彼女のまわりのキャラクターもいいし、とにかくすごくすごく緻密で素晴らしい仕事だ。一緒にみた観客みんな絶賛だったと思う。
劇場版『若おかみは小学生!』
9月21日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:高坂希太郎
原作:令丈ヒロ子(作)/亜沙美(絵)(講談社青い鳥文庫「若おかみは小学生!」シリーズ)
脚本:吉田玲子
音楽:鈴木慶一
声の出演:小林星蘭 松田颯水 水樹奈々 一龍斎春水 一龍斎貞友 てらそままさき 小桜エツコ
配給:ギャガ
【ストーリー】 小学6年生のおっこは交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する旅館「春の屋」に引き取られることに。旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、子鬼の鈴鬼(すずき)、ライバル旅館の跡取り・真月(まつき)らと知り合ったおっこは、ひょんなことから春の屋の若おかみ修業を始めることに!慣れない修業に、毎日失敗の連続。落ち込むおっこだったけど、不思議な仲間に助けられ、いろんなお客様と触れ合い、もてなしながら、少しずつ成長していく。
©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会