『空中庭園』『八日目の蝉』『紙の月』など数々の著作が映画化されてきた直木賞作家の角田光代が、2006年に発表した同名恋愛小説の映画化となる『愛がなんだ』が、2019年に公開されることが決定した。
本作は、28歳のOL・テルコを主人公に、想いを寄せる男性・マモルに自分の時間のすべてを捧げる彼女の一方通行の恋を描く。好きになってくれない男性を一途に追いかける主人公・テルコ役を演じるのは、ドラマ「小公女セイラ」でデビュー後、幅広い分野で活躍している岸井ゆきの。『ピンクとグレー』『森山中教習所』『友だちのパパが好き』などへの出演が続き、初主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。10月より放送のNHK連続テレビ小説「まんぷく」では、安藤サクラ演じる主人公・福子の姪・香田タカ役で出演する。テルコが一方的に想いを寄せるマモル役には、ファッション誌「MEN’S NON-NO」の専属モデルであり、映画やドラマなどの出演オファーが相次ぐ成田凌。『キセキ ―あの日のソビト―』『ニワトリ★スター』などで注目を浴び、『ここは退屈迎えに来て』(今秋公開)や『チワワちゃん』(2019年公開)などの出演作の公開が控えている。
監督を務めるのは、『サッドティー』『知らない、ふたり』『パンとバスと2度目のハツコイ』などを手掛け、伊坂幸太郎の同名小説を三浦春馬主演で映画化した『アイネクライネナハトムジーク』の公開が控える今泉力哉。本作は6月中旬よりクランクインし、2019年に劇場公開予定だ。
キャスト&監督 コメント
■岸井ゆきの
好きな人のためなら仕事中でも電話に出て、食事に誘われればすぐ退社。クビ寸前でも構わず、当たり前のように彼の時計で生きている、主人公・テルコをまさか演じることができるとは!原作の面白さ故のプレッシャーや不安は尽きませんが、今とても嬉しいです。映像だから出来ること、テルコなりの一、二歩、いや四、五歩先をいく気遣い、何周もまわりにまわった恋とも愛とも言い切れない奇妙な執着を、心強いスタッフキャストの皆さんと共に、映画へしっかりと繋いでいきたいと思っています。
■成田凌
「愛がなんだ」どう生きていたらこの言葉を言える時が来るんでしょう。その一つの答えみたいな映画になればいいなと思います。勝手に、答え、とか言ってすみません。角田光代さんの物語の住人になれること、やっと、今泉力哉監督とご一緒できること、そして岸井ゆきのさんをはじめとする、素晴らしいキャストの皆様との共演を楽しみにしています。撮影はこれからですが、面白い作品になりそうです。
■今泉力哉監督
両想いなんて存在しないのでは、と言い続けてきた私の元に、この小説を映画化しませんかという話が来て、これは、と嬉しくなりました。角田さんの小説は本当に面白く、台詞だけに限らず、その言葉や空気、テンポ、そのどれもがとても繊細で、滑稽で、映画化はすごく大変だな、怖いな、と思っております。でもそこは映画です。ひとりでつくるものではありません。ずっと憧れていた岸井ゆきのさん、独特の空気と色気を持つ成田凌さんをはじめとした魅力的なキャスト陣、とても理解ある脚本家の澤井さんと一緒につくっていった本、また経験豊富なスタッフ、そしてもちろん原作の魅力に頼りながら、自分なりの「愛がなんだ」がつくれたらと思っています。完成しても、絶対、愛がなにかなんてわかり得ないけれど。
『愛がなんだ』
2019年公開
監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの 成田凌
配給:エレファントハウス
【ストーリー】 28歳のテルコはマモル(マモちゃん)に一目惚れした5ヶ月前から、生活はすべてマモちゃんを中心に動いている。仕事中でも、真夜中でも、マモちゃんからの電話が常に最優先。仕事を失いかけても、親友に冷たい目で見られても、マモちゃんがいてくれるならテルコはこの上なく幸せなのだ。けれど、マモちゃんにとっては、テルコはただ都合のいい女でしかなかった。マモちゃんは、さっきまで機嫌良く笑っていたのに、ちょっと踏み込もうとすると、突然拒絶する。今の関係を保つことに必死なテルコは自分からは一切連絡をしないし、決して「好き」とは伝えられない。ある日、朝方まで飲んでマモちゃん家にお泊まりしたことから、2人は急接近。恋人に昇格できる!と有頂天になったテルコは、頼まれてもいないのに家事やお世話に勤しみ、その結果、マモちゃんからの連絡が突然途絶えてしまう…。それから3ヶ月が経ったころ、マモちゃんからひょっこり電話がかかってくる。会いにいくと、マモちゃんの隣には年上の女性、すみれさんがいた…。
(C)Kotori Kawashima