2008年に日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂(ソウル・アート・センター)のコラボレーションで製作され、日本の演劇賞を総なめにした伝説の同名舞台の映画化となる『焼肉ドラゴン』が、6月22日に公開となる。このほど、井上真央と大泉洋が関西弁で大ゲンカする本編映像がお披露目となった。
本作は、万国博覧会が催された高度経済成長期の真っ只中の1970年代に、関西の地方都市の一角でちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む6人の家族が、時代の波に翻弄されながらも力強く生きる姿を、ユーモアを織り交ぜながら描く。出演は、長女・静花役に真木よう子、次女・梨花役に井上真央、三女・美花役に桜庭ななみが揃い、静花への思いを秘めたまま梨花と結婚する哲男を大泉洋が演じる。監督は、舞台でも作・演出を務め、数々の演劇賞を受賞した鄭義信が務める。
本作では、舞台が関西ということでキャスト全員のセリフは勿論関西弁。関西出身者が大谷亮平だけで、ほとんどは初関西弁に挑戦したという現場では、方言指導の先生が立ち、キャストのイントネーションを厳しくチェックしていったそう。
カットの声がかかった後、方言指導の先生が近寄ってくるだけでキャストは戦々恐々していたようで、ちょっとしたイントネーションにも指摘が入っていたという。北海道出身の大泉も漏れなく、苦戦した一人だが「関西弁の指導してくれた方のノートを見たら、井上真央ちゃんのとこだけ花丸がついていて、私はバツだらけ。思わず、贔屓(ひいき)してない?って聞きました(笑)」と、あまりの難しさに思わず先生を疑ってしまったという苦労エピソードを語っている。そんな先生に鍛えられた関西弁は今回公開された映像で、特訓の成果が見て取れる。井上演じる梨花を自転車の後ろに乗せ、猛スピードで坂を下ってきた哲男役の大泉。2人は降りるやいなや、激しい関西弁で口論をし始める。井上は、このシーンの撮影について「大泉の自転車走行があまりにも下手で自然と怒りが沸き出て、リアルな感情で演技が出来た」と言うが、まさに全力で怒りを大泉にぶつけているのが分かる。
『焼肉ドラゴン』
6月22日(金)より全国公開
監督・原作・脚本:鄭義信
出演:真木よう子 井上真央 大泉洋 桜庭ななみ 大谷亮平 ハン・ドンギュ イム・ヒチョル 大江晋平 宇野祥平 根岸季衣
配給:KADOKAWA ファントム・フィルム
【ストーリー】 万国博覧会が催された1970(昭和45)年。高度経済成長に浮かれる時代の片隅。関西の地方都市の一角で、ちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉と妻・英順は、静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)の三姉妹と一人息子・時生の6人暮らし。失くした故郷、戦争で奪われた左腕…。つらい過去は決して消えないけれど、毎日懸命に働き、家族はいつも明るく、ささいなことで泣いたり笑ったり。店の中は、静花の幼馴染・哲男(大泉洋)など騒がしい常連客たちでいつも大賑わい。“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる―”それが龍吉のいつもの口癖だ。そんな何が起きても強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくるのだった。
Ⓒ 2018「焼肉ドラゴン」製作委員会