ウェス・アンダーソン監督最新作『犬ヶ島』900以上にのぼるパペットの制作過程に迫る特別映像

第68回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(監督賞)を受賞した、ウェス・アンダーソン監督最新作『犬ヶ島』が5月25日に公開となる。このほど、劇中に登場する900以上ものパペットの制作過程に迫った特別映像がお披露目となった。

全編にわたり日本を舞台とし、“ドッグ病”の大流行によって犬ヶ島に隔離されてしまった愛犬を探す少年と犬たちの壮大な旅と冒険をストップモーション・アニメーションで描く本作。特別映像では、パペットの責任者のアンディ・ジェントが、ひとつのパペットが完成へ向かう様子を丁寧に解説する模様が収められており、パペット制作の土台となる塑像と型作りの成型、パペットを動かすために必要な装置アーマチュア、それを覆う皮膚のような役割のシリコン、傷やシミなどを加える美術、髪を一本一本植え付ける毛髪作業、そして角度さえも細かく調整することができる特殊なコスチューム作りについて説明されている。

劇中に登場するキャラクターは900以上で、さらにキャラクターの表情によって細かいパーツを変えていくため、制作する数は顔や口のパーツだけでも数千個にのぼる。またトレイシーの顔にある297個のそばかすも、手作業と目視ですべてのパーツにペインティングしたという驚きのエピソードも明かされている。これだけの規模のパケット作りは他の作品と比べても前代未聞だそうで、アンディをはじめとするプロのクリエイターたちも、ウェスのこだわりが詰まった実際の現場を体感し驚きを隠せない。

ストップモーション・アニメ―ションを手掛けるのが、『ファンタスティック Mr.FOX』以来、本作で2作目となるウェス・アンダーソン監督は「パペットの仕様にはたくさんの選択肢がある。決める基準は作品の世界観に合うか。物語や声優の演技に合っているかどうか。遊び心があるかだ」と自身が掲げるパペットへの熱いこだわりを解説する。さらに、本作のアニメーション監督であるマーク・ウェアリングも「ウェスは手作り感を残すことに非常にこだわった。観客にクラフト技術を見てもらいたいのだと思う。彼はアニメーションのポンという音やひび割れの感覚が好きだ。動物たちの毛が毛羽立つ様や衣装の動きを見せたかったんだと思う」とウェス監督との撮影を振り返っている。

『犬ヶ島』
5月25日(金)全国ロードショー
監督:ウェス・アンダーソン
出演(声):ビル・マーレイ ジェフ・ゴールドブラム エドワード・ノートン ハーヴェイ・カイテル ティルダ・スウィントン F・マーレイ・エイブラハム ボブ・バラバン フランシス・マクドーマンド 野村訓市 スカーレット・ヨハンソン グレタ・ガーウィグ ブライアン・クランストン リーブ・シュライバー コーユー・ランキン ヨーコ・オノ 野田洋次郎(RADWIMPS) 夏木マリ 村上虹郎 渡辺謙
配給:20世紀フォックス映画

【ストーリー】 近未来の日本。ドッグ病が大流行するメガ崎市では、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放する。ある時、12歳の少年がたった一人で小型飛行機に乗り込み、その島に降り立った。愛犬で親友のスポッツを救うためにやって来た、市長の養子で孤児のアタリだ。島で出会った勇敢で心優しい5匹の犬たちを新たな相棒とし、スポッツの探索を始めたアタリは、メガ崎の未来を左右する大人たちの陰謀へと近づいていく―。

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