2001年の直⽊賞候補になり、性の極限を描いたセンセーショナルな内容が話題を呼んだ⽯⽥⾐良の恋愛⼩説「娼年」が、2016年の舞台と同じ松坂桃李×三浦⼤輔のコンビで映画化され、4月6日より公開中。それを記念し、4月13日、TOHOシネマズ なんばにて舞台挨拶が行われ、脚本・監督を務めた三浦大輔監督、出演の冨手麻妙、猪塚健太が登壇した。
本編上映後の舞台挨拶で、女性客の大きな口コミがSNSで発生していることについて聞かれると、三浦監督は、「盛り上がっていて嬉しいです。色々な人とこの映画について語れたら良いと思っていたので、率直に嬉しいです」と喜びを語った。主人公・リョウが勤める会員制ボーイズクラブ「le club passion」に関わる女性・咲良を演じた冨手は、毎日SNSで本作の感想をサーチしているとのこと。さらに公開初日に自身の母親が鑑賞し「さっぱりするね!」と爽やかな感想を語っていたことに触れ、「親子で観ても楽しめる映画」とアピールした。
「le club passion」のNo.1娼夫・東を演じた猪塚健太は、「大阪・なんばまでle club passionから出張に来ました!」とNo.1娼夫役らしくトークで女性客を沸かせ、松坂桃李とともに舞台・映画両方に出演した猪塚は、松坂との共演の思い出を振り返った。本編の半分以上をセックスシーンが占める本作の撮影はキャスト、監督皆が「地獄のような撮影だった」と振り返るが、劇中東とリョウが行うとある過激なシーンの撮影翌日、松坂は西岡德馬、佐々木心音演じる泉川夫妻との熱海での撮影だったそう。猪塚が、「明日から熱海で良いね!温泉入れるじゃん!」と松坂に話したところ、「健ちゃんは知らないんだよ!この辛さは!」「全然行きたくないよ!」とボヤかれたと振り返る。これに三浦も、「僕も全然行きたくなかった(笑)。」「本当に地獄のような現場でしたから(笑)」と語ると冨手も猪塚も笑った。
今回の舞台挨拶では、来場者とのQ&Aも行われた。最初に登壇者たちに質問を向けたのは、本作でリョウが語る「女性が年を重ねることをなぜ罪に感じるのかわからない」というセリフが響いたという女性。猪塚が、「原作同様女性を救う物語になっていますよね。女性の心が温まる作品」と答えると、三浦監督も冨手もうなずいた。
次の「舞台版と映画版ともに大きな苦労があったと思うが、違いは何でしたか?」という質問に、三浦監督は、「舞台はワンシーンを継続しなければいけないことが大変でした。映画はワンシーンを通しで撮るのではなく、一つ一つのカットを丁寧に積み重ねました。撮り方を変えて何度も同じシーンを繰り返すのが大変でした」「松坂くんは両方地獄だったと言っていました(笑)」と答えた。
「咲良を演じる際に監督からどのような話があったのか?」と訊ねられると富手は、「咲良は優しい人間だから、優しい存在でいてくれ」「咲良が優しく見えなかったら作品が崩壊するから」と説明され、それに応えるべく芝居に向き合ったと語った。
三浦監督が、「気軽に笑えるセックス・エンターテインメント」だと語り、松坂桃李も「二回観れば笑いどころもわかってくる」と語る本作。ここで三人が各々、オススメの“実は笑えるシーン”を発表すると、本編を鑑賞したばかりの場内には大きな笑い声が上がった。
最後に三浦監督から、「セックスは、やっている本人たちは必死だけれど、見方を変えると滑稽に、間抜けに見えることがあると思うんです。そこを外してセックスを描くのは真摯じゃないと思っています。俯瞰して見た時に感じる滑稽さは、素直に笑って欲しいし、感動したら大いに泣いて欲しいです」「観た後に語り合って欲しいです」と挨拶があり、舞台挨拶は幕を閉じた。
『娼年』
4月6日(⾦) TOHOシネマズ 新宿 他 全国ロードショー中
監督・脚本:三浦⼤輔
原作:石田衣良「娼年」(集英社⽂庫刊)
出演:松坂桃李 真飛聖 冨手麻妙 猪塚健太 桜井ユキ ⼩柳友 ⾺渕英⾥何 荻野友⾥ 佐々木⼼⾳ ⼤谷麻⾐ 階⼾瑠李 ⻄岡德⾺ 江波杏⼦
配給:ファントム・フィルム
【ストーリー】 主⼈公の森中領(もりなかりょう)は東京の名門⼤学⽣。⽇々の⽣活や⼥性との関係に退屈しバーでのバイトに明け暮れる無気⼒な⽣活を送っている。ある⽇、領の中学校の同級⽣で、ホストクラブに勤める⽥嶋進也(たじましんや)が、美しい⼥性をバーに連れてきた。⼥性の名前は御堂静⾹(みどうしずか)。「⼥なんてつまんないよ」という領に静⾹は“情熱の試験”を受けさせる。それは、静⾹が手がけるボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。入店を決意した領は、その翌⽇に静⾹の元を訪れ、娼夫「リョウ」として仕事を始める。最初こそ⼾惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、⼥性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、⼼惹かれ、やりがいを⾒つけていく。
(C)⽯⽥⾐良/集英社 2017 映画『娼年』製作委員会