トッド・ヘインズ監督最新作『ワンダーストラック』カラーとモノクロで2つの時代のニューヨークを描き分けた本編映像

『エデンより彼方に』や『キャロル』のトッド・ヘインズ監督最新作『ワンダーストラック』が4月6日より公開中。このほど、カラーとモノクロで描き分けた2つの時代のニューヨークを見比べることができる本編映像が公開された。

『ヒューゴの不思議な発明』の原作者であるブライアン・セルズニックの同名ベストセラー小説を映画化した本作は、1977年のミネソタに住む、母親を亡くした少年ベンと、1927年のニュージャージーに住む、聴覚障害の少女ローズを主人公に、見失ってしまった大切なものを探しに旅に出るという二人の物語が交互に語られていく。少年ベンを演じるのは、『ピートと秘密の友達』のオークス・フェグリー。少女ローズ役には、自身も聴覚障害を持ち、今回映画初出演となるミリセント・シモンズが大抜擢された。さらに、二人をつなぐ重要な役どころとなる人物に、ヘインズ監督と4度目のタッグとなるオスカー女優のジュリアン・ムーア、少年ベンの母親役に、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『グレイテスト・ショーマン』のミシェル・ウィリアムズが扮している。

本編映像は、憧れの女優リリアン・メイヒューに会うべくニュージャージーからやってきた先天性聴覚障害を持つローズと、落雷事故により聴力を失い、まだ見ぬ父親を捜すためミネソタからやってきたベンが、それぞれの時代で初めて見る大都会ニューヨークの姿に圧倒される様子が映し出されている。

富裕層と貧困層が分離されていたため美しく映る1927年のパートは、現在のニューヨークの喧騒のイメージとは違う、緑が多いクラウン・ハイツ周辺に残っていた75年前の建物を背景に撮影し、クラシックな街並みの再現に成功した。それに対し、すべてが無秩序だった1977年のパートは、至る所にアンティーク調の看板とゴミを映し出して殺伐とした街並みを再現し、埃臭いがまばゆい時代として描かれている。

トッド・ヘインズ監督は、「どちらの時代の再現も難しかったけど、どちらかを挙げるとすれば1977年だね。70年代末のニューヨークは財政難で苦境に立たされていた時代で、その混乱の雰囲気を表現するのは至難の業だったよ。でも、失われていく時代の変化を、この映画で保存できたことは良かったと思っているよ」とコメントしている。

『ワンダーストラック』
4月6日(金)より、角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開中
監督:トッド・ヘインズ
脚本・原作:ブライアン・セルズニック
出演:オークス・フェグリー ジュリアン・ムーア ミシェル・ウィリアムズ ミリセント・シモンズ
配給:KADOKAWA

【ストーリー】 1977年、ミネソタ。母親を交通事故で失った少年ベン。父親とは一度も会ったことがなく、なぜか母は父のことを語ろうとはしなかった。ある嵐の夜、母の遺品の中から父の手掛かりを見つけたベンは、落雷にあって耳が聞こえなくなりながらも、父を探すためひとりニューヨークへと向かう。1927年、ニュージャージー。生まれた時から耳が聞こえない少女ローズは、母親のいない家庭で厳格な父親に育てられる。憧れの女優リリアンの記事を集めることで寂しさを癒していたローズは、リリアンに会うためひとりニューヨークへと旅立つ。新たな一歩を踏み出した二人は、謎の絆に引き寄せられていく。そして、大停電の夜、何かが起ころうとしていた―。

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