名優ゲイリー・オールドマンが伝説の政治家ウィンストン・チャーチルを演じる映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』が3月30日より公開中。このほど、チャーチルの秘書エリザベスを演じたリリー・ジェームズのインタビュー映像が公開された。
本作は、第二次世界大戦で英国にナチスドイツの脅威が迫るなか、政界一の嫌われ者だったウィンストン・チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を描く歴史エンターテインメント。第90回アカデミー賞では、主演男優賞(ゲイリー・オールドマン)とメイクアップ&ヘアスタイリング賞(辻一弘ほか2名)の2部門で栄誉に輝いた。
リリーが演じるのは、変わり者で気難しい一面があるチャーチルに翻弄されながらも、タイプライター片手に日々奮闘する秘書エリザベス。インタビュー映像では、作品の内容をはじめ、衣装やメイク、チャーチルを演じたゲイリーとの共演、そして自身が演じたエリザベスという役について語っている。
リリー・ジェームズ インタビュー
■本作について
ジョー・ライト監督作品だからぜひ出たかった。以前から彼の映画に出たいと思っていたの。監督と会って話した時、“チャーチル役はゲイリー・オールドマン”と聞いて、ますます出たくなった。もちろん脚本も本当に素晴らしかったわ。第二次世界大戦が舞台の映画で、まだウィンストン・チャーチルは首相に就任したばかり。だから、映画の冒頭部分では彼の実力は未知数の状態。そして、時代は“暗黒の時(ダーケスト・アワー)”へと突入していく。戦況は悪化の一方で、やがてフランスにも侵攻が始まる。エリザベスは、兄がフランスに出征していたからとても心配だった。戦地で彼が無事なのかどうか、まったく分からなかったから。そして、チャーチルは就任後、数週間で様々な決断を迫られる。
この映画は政治や歴史を題材としている作品。当然ながら、かなり重い内容も入っているけれど、人間らしさをこめて描かれている。登場人物の結びつきを描くことはジョー・ライト監督が得意とするところよ。とても美しい描写だと思う。演技指導はもちろん、カメラへの指示も巧みなの。
■衣装やメイクについて
メイクスタッフのおかげで役にぴったりのウィッグで変身できた。メイクや衣装を整えることは役作りの大切な要素よ。スタッフとの信頼関係さえあれば、本当に特別な体験になる。冒頭のエリザベスの服装は、首相と仕事をする覚悟がある女性には見えない。心の準備ができていない感じね。だから、最初はソフトな印象のワンピース姿で、たくましく成長するとスーツ姿になる。戦争中はニットやウールの服が多く、彼女が厳粛さを身につけたことを表している。とにかく大量の衣装を試着して、スタイルを決めていった。衣装というのは作りの出発点になるわ。
■ゲイリー・オールドマンについて
あれはシュールな体験だった。朝、仕事に行くとチャーチルがいる。ゲイリーは役ごとに完全に変身してしまうの。撮影中、素顔の彼にはほとんど会ってないわ。リハーサルにも特殊メイクで来ていたのよ。そして話し方も常にチャーチルそっくり。ゲイリー本人の顔や話し方を忘れそうだった。ゲイリーこそ本物の俳優だと思う。特殊メイクなどの助けもあるけど、何よりも素晴らしい演技力を持った人よ。そして、とても心の広い人。共演中にも感激してしまったわ。演技は本当に大胆で見事で、その上とても楽しい人で私に優しく接してくれる。
■エリザベスという役について
私の役もいつもとは違っていて楽しかった。恋愛の対象としては描かれていなくて、彼女とチャーチルとの間には恋とは違う特別な絆があった。闘志を持つ女性の役は新鮮だったわ。この時代の政治について、チェンバレンからチャーチルに首相が交代するという激動の時代を学ぶのは楽しかった。秘書は大変な仕事で、首相が打つ電報の数は相当なものだった。陸軍将校を始めあらゆる要人に送るから、必死に名前を覚えたはずよ。そうしないと正しい人に電報を送れなくなってしまう。私も大変だったから、エリザベスの気持ちが分かる。政治の世界は男性社会だしね。
これは誰もが知っている歴史を題材とした映画で、まさに激動の時代を描いている。私自身の個人的な感想としても本当に心を動かされるストーリーだった。あの時代に生きた人々は家族や家を失った大戦を二度も経験した人だっている。私の祖母にも戦時中の思い出があった。フランスに住んでいた時、軍用トラックで移動していたら途中で爆撃を受けたそうよ。そんな話を自分の祖母から聞いた時には、本当にショックを受けた。そんなに昔の話じゃないし、今だって戦争中の国はある。忘れてはいけない。私たちは、もっと過去から学ばなければ。
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
3月30日(金)より TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー中
監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン クリスティン・スコット・トーマス リリー・ジェームズ スティーヴン・ディレイン ロナルド・ピックアップ ベン・メンデルソーン
配給:ビターズ・エンド/パルコ
【ストーリー】 1940年、第二次世界大戦初期。ナチスドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれるなか、ヨーロッパの運命は、新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねられた。嫌われ者の彼は政敵に追いつめられながら、ヨーロッパのみならず世界にとって究極の選択を迫られる。ヒトラーに屈するのか、あるいは闘うのか―。
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