『桐島、部活やめるってよ』、『紙の月』など、人間の光と闇を描き続ける吉田大八監督の最新作で、錦戸亮主演で贈る『羊の木』が2月3日より公開中。このほど、原作者である山上たつひこ、いがらしみきおから本作を絶賛するコメントが寄せられ、併せて、いがらしみきおによる描き下ろしイラストが公開された。
本作は、「がきデカ」の山上たつひこ原作、「ほのぼの」のいがらしみきお作画という漫画界に君臨する2人の巨匠がタッグを組み、2014年文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した傑作コミックを映画化。さびれた港町を舞台に、国家の極秘プロジェクトとして殺人を犯した元受刑者である男女6人の受け入れをきっかけに、町の日常が変化していく様が描かれる。
山上は、「主役が人気アイドル、共演者もテレビでよく見かける顔。一抹の不安があった」と映画化にあたって感じていた正直な気持ちを明かすも、「それは杞憂だった」と断言。「出演者はテレビから映画への切り替えスイッチを持っているかのようにギアを上げ、大画面にふさわしい重厚さを醸していた。優れた映像作家は独自の魔法を使う。俳優の、テレビでは見せることのない深い陰影は、吉田大八監督のマジックの手際の一つであるに違いない」と絶賛する。いがらしも「全編とおして画面の緊張感が素晴らしいです。原作よりもさらに焦点を絞ったため、その分、熱くなり、焦げ、煙を発し、青白い炎を上げて燃えているような映画になりました」と太鼓判。さらに、いがらしは本作を金沢での特別試写会で鑑賞し、その際に印象的だった一コマを切り取った描き下ろしイラストを寄せた。
■山上たつひこ(漫画家) コメント
喜劇であれ、悲劇であれ、ホラーであれ、ドラマには張りつめた空気がなくてはならない。上質の虚構を作り出そうとする意思が発する緊張感である。主役が人気アイドル、共演者もテレビでよく見かける顔。一抹の不安があった。原作の世界観をどこまですくい上げていただけるのだろうかと。それは杞憂だった。出演者はテレビから映画への切り替えスイッチを持っているかのようにギアを上げ、大画面にふさわしい重厚さを醸していた。優れた映像作家は独自の魔法を使う。俳優の、テレビでは見せることのない深い陰影は、吉田大八監督のマジックの手際の一つであるに違いない。
■いがらしみきお(漫画家) コメント
全編とおして画面の緊張感が素晴らしいです。原作よりもさらに焦点を絞ったため、その分、熱くなり、焦げ、煙を発し、青白い炎を上げて燃えているような映画になりました。韓国映画好きの私としては、初の受賞歴が釜山映画祭だったことも感慨深いです。これは日本人が作った韓国映画かもしれません。原作者の勝手な妄想ですが。
『羊の木』
2月3日(土)より公開中
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと
原作:「羊の木」(講談社イブニングKC刊)山上たつひこ いがらしみきお
出演:錦戸亮 木村文乃 北村一輝 優香 市川実日子 水澤紳吾 田中泯 松田龍平
配給:アスミック・エース
【ストーリー】 ある寂れた港町“魚深(うおぶか)”にやってきた見知らぬ6人の男女。平凡な市役所職員・月末(つきすえ)は彼らの受け入れを命じられた。受刑者を仮出所させ、過疎化が進む町で受け入れる国家の極秘プロジェクト。月末、町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は知らされなかった。しかし、月末は驚愕の事実を知る。「彼らは全員、元殺人犯」。犯した罪に囚われながら、それぞれ居場所に馴染もうとする6人。素性の知れない彼らの過去を知ってしまった月末。そして、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文を巻き込み、町の人々と6人の心が交錯し始める。
© 2018「羊の木」製作委員会 ©山上たつひこ いがらしみきお/講談社