香川照之「劇場で私の姿を見られるのはもう最後かもしれません」渾身の“現象”演技に込めた覚悟

第73回サン・セバスティアン国際映画祭コンペティション部門に正式招待されたサイコ・サスペンス映画『災 劇場版』の公開を記念し、2月21日、新宿武蔵野館にて舞台挨拶が開催された。主演の香川照之をはじめ、中村アン、竹原ピストル、関友太郎監督、平瀬謙太朗監督が登壇し、満員の観客を前に熱いトークを繰り広げた。

本作はWOWOW「連続ドラマW」を再構築し、新たな恐怖を描く映画として誕生した作品。上映直後の大きな拍手に迎えられた香川は、念願の劇場公開について「撮影前から監督が“映画にする”構想を語っていて、ドラマを撮りながらも完成が待ち遠しかった」と喜びを語った。

本作で香川は、複数の物語に現れる謎の“男”を演じるという前代未聞の役どころに挑戦。監督からは「役ではなく“現象”を演じてほしい」と求められたといい、香川は「抽象的に見える“現象”の方が実は難しい。6つの現象をひとつに集める感覚は、自分の中で数式のように成立した」と役作りを振り返った。また、順撮りで進んだ撮影について「役と一人ずつ別れていく感覚は、生まれ変わるようで面白かった」と語り、独特の体験だったことを明かした。

そして舞台挨拶の終盤、会場を静かにさせたのが次の言葉だ。「60を超え、いつまで役者を続けられるかわからない。今回の6役は“陰”の男の集大成。だからこそ、劇場で私の姿を見られるのは、もう最後かもしれません」役者人生をかけた作品であることを語ると、会場は大きな拍手に包まれた。

刑事・堂本役で新境地を見せた中村アンは、「外見のイメージとは違う役に出会いたかった。お芝居の根底にある自分の一面を出せた」と充実した表情を見せた。撮影現場ではセリフをつぶやきながら歩き回ることが多かったと明かされ、香川が「中村さんはオニヤンマタイプ、僕はギンヤンマ」と昆虫ネタで例え、会場を笑わせる場面もあった。

竹原ピストルは「香川さんと対峙すると、不吉な空気がびりびり伝わってきて怖かった」と振り返り、「視界が狭まるような感覚があった」とその存在感を表現。さらに撮影時について「平瀬監督は褒めてくれるが、関監督はダメ出しなので“来ないで!”と思っていた」とユーモアたっぷりに語り、会場は笑いに包まれた。

関友太郎監督は、本作の発想について「複数の物語に同じ男が現れ、その後に災いが起きる構造から始まった」と説明。平瀬謙太朗監督も「異なる物語を映画として再構築する中で、“災い”というテーマにたどり着いた」と語り、独創的な物語構造が誕生した背景を明かした。

■作品情報
タイトル:災 劇場版(さい げきじょうばん)
公開:絶賛公開中
英題:SAI: disaster
出演:
香川照之
中村アン/竹原ピストル/宮近海斗
中島セナ/松田龍平/内田慈/藤原季節/じろう(シソンヌ)/坂井真紀/安達祐実/井之脇海
監督・脚本・編集:関友太郎、平瀬謙太朗
音楽:豊田真之
原案:5月
配給:ビターズ・エンド
制作プロダクション:AOI Pro.
製作著作:WOWOW

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