柄本明の朗読劇を追ったドキュメンタリー、映画と演劇が交差する全国ミニシアター巡業の記録『今は昔、栄養映画館の旅』公開決定

1983年に初演され、数々の受賞歴を誇る竹内銃一郎の不条理劇『今は昔、栄養映画館』。自称映画監督と自称助監督が「映画完成セレモニーの開始を待っている」という設定で進行するこの朗読劇は、長年にわたり演劇ファンに支持されてきた名作だ。近年は、柄本明と西本竜樹の新たなコンビにより、劇団東京乾電池の稽古場兼劇場「アトリエ乾電池」で再演が重ねられている。

「この朗読劇を“本当の映画館”で上演できたら――」。そんな思いから、2025年5月1日から31日までの約1か月間、全国22館のミニシアターを巡り、24回にわたる朗読劇公演が敢行された。映画館という空間で朗読劇を上演するという試みは、映画と演劇の境界を越えた特別な体験を生み出し、各地で大きな反響と熱気を呼んだ。

その全国巡業の道中を記録したのが、本作ドキュメンタリー映画『今は昔、栄養映画館の旅』である。柄本明と西本竜樹、そして劇団スタッフがワゴン車1台で日本各地のミニシアターを訪ね歩く姿を追い、移動の時間、劇場との出会い、観客との交流、そして舞台に立つ瞬間までを丁寧に映し出す。そこには、演劇を「映画館で届ける」ことの意味や、ミニシアター文化への深い愛情が刻まれている。

さらに2026年3月には、東京にて朗読劇上演と本ドキュメンタリー映画上映をセットにした特別企画公演の開催と、映画の東京ロードショー上映が決定。旅の記録をスクリーンで体感し、その原点である朗読劇を同時に味わう、またとない機会となりそうだ。映画と演劇、過去と現在、そして全国の映画館をつなぐ――本作は、文化の継承と挑戦を静かに、しかし力強く伝える一本である。 

■作品情報
タイトル:今は昔、栄養映画館の旅
ジャンル:ドキュメンタリー
制作年:2025年
上映時間:120分
制作:(株)ノックアウト
企画:荒井晴彦
プロデューサー:小林勝彦、井上淳一
監督・撮影・編集:竹田正明
音楽:外川智子
出演:柄本明、西本竜樹 ほか
配給・宣伝:マジックアワー

© 2025 Knockout / Magic Hour