第38回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品された映画『金髪』(11月21日公開)の上映前舞台挨拶が11月4日、丸の内ピカデリーで行われた。主演の岩田剛典をはじめ、白鳥玉季、山田真歩、田村健太郎、内田慈、坂下雄一郎監督が登壇し、作品への思いや撮影秘話を語った。

教師役初挑戦となった岩田は、「今日のためだけに髪の毛を金髪にしてきました!……ウソです」と会場を笑わせつつ、「坂下監督の脚本を読んですぐにやりたいと思った。それほど脚本力に魅了された作品です」と語る。自身が演じた中学校教師・市川については「観てくださる皆さんの耳が痛くなるような世界観でもありますが、反面教師として楽しんでほしい」と呼びかけた。
金髪デモを起こす生徒・板緑役の白鳥玉季は「金髪ウィッグをつけた瞬間に役に近づける気がした。ウィッグに感謝です」とコメント。共演の山田真歩は「自分がこの先生に習っていたら、卒業と同時に記憶から消してしまうような先生。でもそういう大人って多いのでは」と作品のリアリティを語った。
坂下組常連の田村健太郎は「監督はとにかく撮影が早い。『大丈夫』とボソッと言って帰っていく。でも完成した作品は完璧」と信頼の厚さを明かすと、岩田は「昨日、監督の声を初めて聞きました……ウソです!」と再び笑いを誘い、「今のも英訳されるのか、恥ずかしいな」と照れた様子を見せた。
内田慈も「監督が初めて笑顔を見せてくれて、大人になったんだなと思いました」と語り、和やかな雰囲気に包まれた。坂下監督は「距離のある題材と距離の近い主人公の変わった組み合わせの作品」と語り、「校則を通して現代社会の構造を映す試み」として手応えを感じていると明かした。
最後に岩田は「お互い何を考えているのかわからない人たちが作った映画です」と笑いを交えつつも、「世代間のギャップや価値観の違いを描いた全世代共感型の映画です。純粋に楽しんでほしい」と締めくくった。
上映後のQ&Aでは、観客から「教師役を演じる際に参考にした人物は?」との質問に、岩田は「具体的にはいませんが、これまで出会った先生方を意識しました。本作は脚本が全てで、市川は監督の筆が生み出したキャラクターです」と脚本への信頼を強調した。
また「普段何をしてもかっこいい岩田さんが、今回はダサく見えました。あの表情はどうやって?」という問いには「考えたというより監督が引き出してくれた」と回答。坂下監督は「脚本でなるべく細かく描くようにしている」と制作への姿勢を語った。
さらに、若い観客から「夢に向かって頑張る人へメッセージを」と求められると、岩田は「失敗を恐れず挑戦してほしい。自信がなくても、年齢や時間を理由にやめないで。失敗は失敗じゃないから」と温かいエールを贈り、会場を包み込んだ。



■作品情報
『金髪』
2025年11月21日(金)全国公開
監督・脚本:坂下雄一郎
出演:岩田剛典、白鳥玉季、門脇麦、山田真歩、田村健太郎、内田慈
音楽:世武裕子
配給:クロックワークス
©2025 映画「金髪」製作委員会

