菅野美穂「フジコさんのピアノの素晴らしさに、改めて元気をいただいた」『フジコ・ヘミング 永遠の音色』プレミア上映会舞台挨拶レポート

“魂のピアニスト”として多くの人々を魅了し、2024年4月に92歳でこの世を去ったフジコ・ヘミング。彼女の人生と唯一無二の演奏を12年間にわたって追い続けたドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミング 永遠の音色』(10月24日公開)のプレミア上映会が、10月7日(火)にヒューマントラストシネマ渋谷で開催された。上映後の舞台挨拶には、ナレーションを担当した菅野美穂と、小松莊一良監督が登壇した。

映画上映後、大きな拍手に包まれながらステージに登場した菅野は、「かつてドラマでフジコさんの人生を演じたことがあり、彼女の強さと優しさを深く感じていました。今回ナレーションという形でまた関われたこと、本当にうれしく思っています」と笑顔を見せた。

ナレーション収録当日を振り返り、「偶然にも渋谷でフジコさんの衣装展をやっていて、拝見してから録音スタジオに向かいました。今日またこの渋谷の映画館で作品をご覧いただけることに、運命のようなものを感じます」と語り、客席からは温かい拍手が送られた。

完成した映画について菅野は、「フジコさんの人生は決して平坦ではなかったと思います。でもピアノに向き合うことをやめなかった。だからこそ、あの柔らかで優しい音色が生まれたのだと思います。映画でまたフジコさんの演奏に触れられるというのは、本当に素晴らしいこと。わたし自身も改めて元気をいただきました」としみじみとコメント。

さらにフジコの人物像を「少女のようで気難しい一面もある。相反するものを内に抱えているからこそ、あの珠玉の音が響くのだと思います」と語った。

小松監督は、「フジコさんや彼女を愛した方々のために作ってきた作品。皆さんの表情を見て、きっとフジコさんもどこかで見てくれていると思います」と挨拶。撮影について「自然体で過ごす姿、何気ない日常を記録し続けました。その中に本音や真実があると信じて」と振り返った。

また、ナレーションに菅野を起用した経緯について「実は制作中、フジコさんご本人が“菅野さんがいいんじゃない?”と話していた」と明かし、会場を驚かせた。

フジコのように第一線で輝き続ける秘訣を問われた菅野は、「フジコさんを見て、行きたい場所に行くことの大切さを感じました。今は子育て中でなかなか旅に出られませんが、時が来たら旅を再開したい。次に行きたいのはウユニ塩湖です」と微笑む。

最後に観客へ向けて「スクリーンでフジコさんの『ラ・カンパネラ』や『月の光』を聴ける貴重な機会。ぜひ、いい音響の劇場で体感してほしいです」とメッセージを送った。

■作品情報
『フジコ・ヘミング 永遠の音色』
2025年10月24日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
出演:フジコ・ヘミング
ナレーション:菅野美穂
監督・構成:小松莊一良
配給:日活

作品概要:
フジコ・ヘミングの生涯を12年間追い続けた小松監督が、彼女の素顔と音色に迫るドキュメンタリー。圧巻の「ラ・カンパネラ」をはじめ、数々の名演奏と未公開映像、日記、そして家族が語る“新たな真実”を通じて、“魂のピアニスト”の軌跡が蘇る。

©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ