南沙良「生きづらさを感じる人に寄り添う映画」——『愛されなくても別に』公開記念舞台挨拶レポート

映画『愛されなくても別に』の公開を記念し、7月5日(土)に新宿ピカデリーで舞台挨拶が開催され、主演の南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介(IMP.)、そして監督の井樫彩が登壇。キャストたちは撮影の裏話や作品に対する思い、さらには“抜け出せない”ものについて語り、会場は笑いと共感に包まれました。

主人公・宮田陽彩を演じた南沙良は、「原作を読んだ時、登場人物たちが抱える問題は重いものですが、その先にちゃんと救いがあると感じた。意外とポップな印象も受けました」と語り、脚本を読んだ当初の印象を振り返りました。

雅役の馬場ふみかも、「冷たく見えるけど、実はやさしさや愛を持つキャラクター。演じていてとても魅力的でした」とコメント。キャストそれぞれがキャラクターの持つ複雑な感情と向き合った様子が伝わってきました。

本田望結は、演じた水宝石(あくあ)というキャラクターについて「自分にこの役が回ってきた理由が気になっていたが、監督から“家族や愛に悩みのない人だからこそ演じてほしい”と言われたことで、役を引き受ける意味を見出せた」と話しました。

そんな本田と南の間には、思わぬ“ゲーム内のペット名”をめぐるエピソードも。南がかつてハマっていたゲームで、本田が自身のペットに「沙良」と名付けていたことを初めて聞かされた南は「やばい!やばいですね!」と大興奮。本田は「沙良さんに教えてもらったゲームだったので、そのまま名前にしました」と語り、二人の仲の良さが垣間見えるひと幕となりました。

撮影では他キャストとの交流が少なかったという基俊介は、イベント当日の驚きの出来事を披露。「控室で準備していたら、IMP.のメンバー・影山拓也と松井奏が白Tにデニム、野球帽という双子コーデで突然現れた。最初は迷惑系YouTuberかと思ってしまった(笑)」と笑わせました。

その様子を見ていた井樫監督も「微笑ましい光景でした」と語る一方で、「監督に挨拶したくて来たのかもしれませんね。僕のところではヘラヘラしてたのに、監督の前では礼儀正しかったので(笑)」とジョーク交じりに振り返り、会場の笑いを誘いました。

イベント終盤には、キャストが「抜け出せないもの」について明かすコーナーも。本田は「沙良さんの観察がやめられない」と告白。馬場は「毎晩4時くらいまで寝られない」と自身の生活習慣を明かし、南は「ガチャガチャにハマっていて、欲しいものが出るまで何十回も回してしまう」と語りました。

最後に、南は「生きづらいと思っている方にこそ、この作品が寄り添えたら嬉しい」と真摯に語り、井樫監督も「“毒親”という重いテーマの映画ですが、人生を力強く生きようとする物語です。観た方の心に残るものがあれば」と語り、イベントを締めくくりました。

■映画『愛されなくても別に』作品情報

タイトル:愛されなくても別に
全国公開中
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
監督・脚本:井樫彩
脚本協力:イ・ナウォン
出演:南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介(IMP.)、伊島空、池津祥子、河井青葉
主題歌:hockrockb「プレゼント交換」(TOY’S FACTORY)
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会