東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の苦悩と決意『逃走』2025年3月公開

安倍晋三元首相銃撃犯を描いた問題作『REVOLUTION+1』の足立正生監督の最新作『逃走』が、2025年3月に公開されることが決定した。併せて、キービジュアルが披露された。

本作で語られるのは半世紀に及ぶ逃亡の末に、末期がんで孤独に亡くなった、東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡。

監督の足立は映画監督・若松孝二作品の脚本を量産、大島渚作品にも参加するなど異色の世界観を多数書き上げてきた。その後、日本赤軍に身を投じ、27年間日本を離れ、帰国後再び映画監督として活動を再開した。「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」と始まった本作のプロジェクトは、足立が自ら脚本も担当し、夏にクランクイン、そして荒々しいスピードで劇場公開となる。

主演の桐島聡には、今回、足立監督が出演を熱望した古舘寛治。名バイプレイヤーとして数々の映画・ドラマに出演し、近年では、マーク・ギル監督作『レイブンズ』やピエール・フォルデス監督作『めくらやなぎと眠る女』、レオス・カラックス監督作『アネット』、一木正恵監督作『アナウンサーたちの戦争』などに出演し、国内外の監督からの信頼も厚い。本作では謎の多い桐島を寡黙に佇む立ち姿からも、さまざまな感情を想起させるような奥行きのある演技で魅せる。そして、杉田雷麟が若い頃の桐島を演じた。桐島と恋仲になる女性に 中村映里子、桐島と共に逃走する宇賀神寿一にはタモト清嵐、そのほか吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充など個性的な面々が脇を固める。

キービジュアルは、左側には晩年の桐島を演じる古舘、右側には青年期の桐島を演じる杉田が逆さに配置され、全体的に赤と黒と白のコントラストを基調としたデザインで構成されており、物語の緊張感や不穏な予感を強く印象づけるビジュアルとなっている。

『逃走』
2025年3月 ユーロスペースにて全国順次公開
監督・脚本:足立正生
出演:古舘寛治 杉田雷麟 タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充 中村映里子
配給:太秦

【ストーリー】 社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団「東アジア反日武装戦線“さそり”」のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数十年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。1960〜1970年代のブルースやロックを好み、月に一度、音楽好きが集まる藤沢市内のライブバーに足を運んでいた。趣味を楽しむ一面があったものの、かつての仲間たちの存在が常に脳裏に影を落としていた。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。薄れる意識の中で浮かんでくるのは、東アジア反日武装戦線としての活動、仲間と逃亡を続けていた当時の記憶。彼が生涯を懸けて追い求めたものは何だったのか。半世紀にわたる逃亡生活の果てに、彼は何を得ようとしたのか。死の間際に「私は桐島聡です」と名乗り出て何を表現しようとしたのか。

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