『長江哀歌(エレジー)』でヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞、『罪の手ざわり』でカンヌ国際映画祭脚本賞を獲得したほか、作品を発表するごとに世界の映画祭で絶賛され続けている中国の巨匠、ジャ・ジャンクー監督の最新作『新世紀ロマンティクス』が、2025年5月9日より公開されることが決定した。
2001年、炭鉱産業が廃れ失職した者で溢れていた山西省・大同(ダートン)。2006年、三峡ダム建設により水没が運命づけられた長江・奉節(フォンジエ)。2022年、マカオに隣接する経済特区として発展する珠海(チューハイ)とすっかり様変わりして都会となった大同…。チャオは大同を出て戻らぬ恋人ビンを探して奉節を訪ね、ビンは仕事を求めて奉節から珠海を訪れる。時は流れ、2人はまた大同へ。恋人たちの関係と比例するように、街は変化していく。
主人公チャオを演じるのはジャ・ジャンクー監督の妻でもあるミューズ、チャオ・タオ。本作で長編ドラマは8作目のタッグだ。ジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズ、吉田喜重と岡田茉莉子、イングマール・ベルイマンとリブ・ウルマン、ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマンのように、妻である女優を主演に映画を撮り続けるジャ・ジャンクーの期待に応える熱演が光る。
「過去の作品のすべては『新世紀ロマンティクス』のために、素材を集めていたのではないか、そう思わせるほど、ジャ・ジャンクーの斬新な試みは成功している」とVariety誌が評するように、本作では過去の傑作『青の稲妻』『長江哀歌』『帰れない二人』などの本編映像と共に未使用映像やドキュメンタリー映像も駆使して中国激動の22年間が描かれる。実際の24歳・29歳・45歳のチャオ・タオの姿とともに、その時々の人々の顔と、急激に変化していく街の景色が刻まれる。映画内で人物も街も実際に変化していく、ドキュメンタリーとフィクションが融合した、類い稀な、これまでにない傑作が誕生した。
場面写真は2001年、2006年、2022年の3点。大同でバスの中で視線をはずしているチャオとビン、奉節でビンを探して雨宿りをしているチャオ、大同に戻りスーパーマーケットで接客をするロボットとやり取りするチャオの姿を収めている。21世紀を22年かけて旅するチャオがたどり着くのはなにか…。
『新世紀ロマンティクス』
2025年5月9日(金)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ リー・チュウビン パン・ジアンリン ラン・チョウ チョウ・ヨウ レン・クー マオ・タオ
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 2001年、中国北部の大同。モデルのチャオと恋人のビンは怖いもの知らずに青春を謳歌していた。しかし、炭鉱産業で築かれた大同の繁栄は失われつつあった。ある日、ビンは一旗揚げるために大同を去る。2006年、チャオはビンを探して長江・奉節を訪れる。2022年コロナ禍、潮の流れは2人を大同に連れ戻すが、街はすっかり様変わりしていた…。
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