「悪人」「怒り」で知られる吉田修一の傑作小説「愛に乱暴」を、森ガキ侑大監督が江口のりこ主演で映画化するヒューマンサスペンス『愛に乱暴』が、8月に公開される。このほど、特報映像とティザービジュアルが披露された。
原作は、数々の権威ある文学賞を受賞し『悪人』『さよなら渓谷』『怒り』など多くのベストセラーが映画化されてきた吉田修一の同名小説。人間の複雑な感情とその裏に隠された本質を鋭く炙り出してきた著者が、本作では愛が孕(はら)むいびつな衝動と暴走を描く。監督を務めるのは、CMディレクターとして国内外の広告賞を席巻後、初の映画長編作『おじいちゃん、死んじゃったって。』で第39回ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞、ほか『さんかく窓の外側は夜』を手掛けた森ガキ侑大。物語に隠されたある仕掛けから、映像化は難しいと思われた原作小説を繊細にアレンジし、フィルムを使って主人公の背後からまとわり付くようなカメラワークで撮影、息もつかせぬ緊迫感に包まれた見事なヒューマンサスペンスが誕生した。
主演は唯一無二の存在感とユニークで高い演技力で多数の作品に出演する江口のりこ。徐々に平穏を失っていく“妻”を怪演、一瞬たりとも目を離せない危うい女性像を具現化させている。共演には小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュンら個性豊かな俳優陣が名を連ね、江口扮する主人公を追い詰めていく。
特報映像は、桃子(江口のりこ)が夕暮れ時に一人鼻歌を歌いながら線路沿いを歩く様子が切り取られている。(口ずさんでいるのは、エリック・サティの有名曲「ジュ・トゥ・ヴ~あなたが欲しい~」)。電車が通過する轟音にかき消されるまいと、桃子の鼻歌は徐々に叫びのように大きくなっていく。わずか20秒の映像ながら、江口の存在感と“桃子”という狂気をはらんだキャラクターを強烈に印象付け、魅了する映像となっている。
WEB限定のティザービジュアルでは、桃子の日常~ゴミ捨て場のふとした瞬間の姿と、裏庭で慈しむようにスイカを抱える姿の2つのパターンが公開された。これから桃子に降りかかる事件を予感させる、不穏な空気漂うミステリアスなビジュアルとなっている。
『愛に乱暴』
2024年8月 全国ロードショー
監督・脚本:森ガキ侑大
原作:吉田修一「愛に乱暴」
出演:江口のりこ 小泉孝太郎 馬場ふみか 水間ロン 青木柚 斉藤陽一郎 梅沢昌代 西本竜樹 堀井新太 岩瀬亮 風吹ジュン
配給:東京テアトル
【ストーリー】 夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子は、義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ毎日を充実させていた。そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、失踪した愛猫、度々表示される不気味な不倫アカウント…。桃子の平穏な日常は、少しずつ乱れ始める。
©2013 吉田修一/新潮社 ©2024 「愛に乱暴」製作委員会