セリフは一切なし!木々のざわめきや鳥のさえずり、雪崩の地響きなど、大自然が画面を支配する『プロミスト・ランド』特報映像

歴史小説のジャンルで名を馳せる作家・飯嶋和一のデビュー作で、第40回小説現代新人賞を受賞した「プロミスト・ランド」を、38年の時を経て杉田雷麟と寛一郎の主演で実写映画化した『プロミスト・ランド』が、6月29日より公開される。このほど、特報映像が披露された。

春の東北、マタギの伝統を受け継ぐ山間の町。高校を出て親の仕事を手伝う20歳の信行(杉田雷麟)は、この土地の閉鎖的な暮らしに嫌気が差しながらも、流されるままに日々を送っていた。そんなある日、役所から今年の熊狩りを禁止する通達が届く。違反すれば密猟とみなされ、マタギとして生きる道を閉ざされてしまう。皆が落胆しながらも決定に従うなか、信行の兄貴分の礼二郎(寛一郎)だけは、頑なに拒み続ける。後日、礼二郎から呼び出された信行は、二人だけで熊狩りに挑む秘密の計画を打ち明けられ…。マタギの誇りを貫くため、他を犠牲にしてきた若者と、古いしきたりや大人たちに反発しながらも、自分の生き方を見つけられずにもがく若者が、それぞれの思いを果たすため、二人きりで禁じられた熊狩りに挑む。

特報映像は、壮麗な自然の中、熊狩りへと向かう信行と礼二郎の姿を追いかける。春の雪が残る広大な山を、熊を探して、ただ黙々と歩き続ける二人。やがて事態は急転し、緊迫した表情を浮かべる信行と、慌ただしく飛び立つ鳥たち、そして礼二郎が銃の引き金に指を掛け…。セリフは一言もなく、木々のざわめきや鳥のさえずり、雪崩の地響きなど、人間たちを圧倒するような大自然が画面を支配する。古来より山とともに生き、自然を畏敬し、その恵みを頂いてきたマタギたちの世界を目で、耳で、体で感じられる特報映像が完成した。

新キャスト陣として発表されたのは、主人公の若き二人を支えるベテラン俳優の四人。檜原のマタギ衆のひとりであり、息子の信行と事あるごとに対立する親父を演じるのは、『太陽の子』、『ケイコ 目を澄ませて』等で知られ、最近ではNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の社長秘書室長役が話題をさらった三浦誠己。信行の母を演じるのは、『偶然と想像』、『はい、泳げません』、『ちひろさん』等の話題作に出演、映画、舞台、ドラマと幅広く活躍する占部房子。マタギ衆のひとりで、信行と礼二郎の良き理解者・田島には、『偶然と想像』、『狐狼の血 LEVEL2』、『夜明けのすべて』など、日本映画界に欠かせない存在である渋川清彦。そしてマタギたちを束ねる親方・下山には、『冬薔薇』、『Dr.コトー診療所』、『首』など、日本映画を代表する名優・小林薫が扮し、静かな威厳を滲ませる。

山形県大鳥地区を舞台に撮った本作について、三浦誠己は「撮影中に大自然の中で己の無知さを感じ、撮影を終え戻った大都会でジクジクと考えさせられました」と明かし、占部房子は「出来上がった映画は、地球から聞こえる脈動、循環する命の中にいつの間にか取り込まれたような驚きの体験をくれるものでした」と映画のスケール感を絶賛。渋川清彦は「飯島監督は人柄も相まって見事に飯島作品を創りあげた」と監督の手腕を讃え、小林薫はロケ地に入った際のエピソードを披露しながら「ここに住む人たちの強靭さ、自然との向き合いかたにジーンと感動した」と、それぞれ思いのこもったコメントを寄せた。

『プロミスト・ランド』
2024年6月29日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:飯島将史
原作:飯嶋和一「プロミスト・ランド」
出演:杉田雷麟 寛一郎 三浦誠己 占部房子 渋川清彦 小林薫
配給:マジックアワー/リトルモア

©︎飯嶋和一/小学館/FANTASIA