時代とともに家族の姿を描き続けてきた山田洋次監督が、主演に吉永小百合、大泉洋を迎えて、変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない母の愛を描く『こんにちは、母さん』が9月1日より公開される。このほど、特報映像がお披露目となった。
『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作となり、日本を代表する名女優・吉永小百合の集大成ともいえる本作。原作は日本を代表する劇作家であり、演出家としても数々の名優と舞台を創ってきた永井愛の人気戯曲「こんにちは、母さん」。01年と04年に新国立劇場で上演され、07年にはNHK土曜ドラマにて映像化されるなど、多くの演劇ファンから人気を博した本作を現代の下町を舞台に映画化する。本作のメガホンを取るのは、時代とともに家族の姿を描き続けてきた山田洋次監督。91歳にして90本目の監督作となる本作では、現代を生きる家族・親子の形や想いを心情豊かに描く。
特報映像では、母・福江(吉永小百合)と息子・昭夫(大泉洋)が織りなす“親子の絆”に、じんわり心が温まる。夜空に打ち上がる大きな花火とともに映し出されるのは、息子・昭夫に 「お前はここの2階で生まれたんだよ。お前はその花火と一緒に生まれたの」とイキイキとした様子で話す母・福江の姿。昭夫を産んだ日のことをまるで昨日のことのように思い出しながら、キラキラとした表情で昭夫に語りかける福江の微笑ましい姿が印象的だ。「頼むよ、母さん」(昭夫)、「しょうがない、母さんの出番だね」(福江)という親子の掛け合いも収められており、そんな温かな光景からは“親子の絆”を感じさせる。そして最後には夕陽を照らす隅田川の美しい風景が映し出され、映像は締めくくられている。「全国のお母さん、あなたの出番です」というメッセージの通り、福江と同世代の人々の背中を押すような、優しくも力強い“エール”が込められた映像に仕上がった。
歳を重ねても自分らしさを忘れずにイキイキと暮らす母・福江と、仕事と家庭に悩み事が尽きない、大企業勤めの息子・ 昭夫。東京の下町を舞台に、 “いまを生きる等身大の親子”の物語を描いた本作。いつまでも気高く自分らしく生きる福江、そしてそんな母の姿を通して自らを見つめ直し、再出発していく昭夫の姿は、不況や不安が取り巻くこの時代だからこそ、観る者を元気にし、明るく前向きな気持ちを与えてくれるはず。
また、親子役を演じる吉永と大泉は、本作が初共演。本作の完成報告会見では、吉永は役作りのために大泉から幼少期の写真を借りたというエピソードを披露。そんな吉永について「僕との役を作ろうとしてくださっていることを知れたので、より母親のように感じられました」と振り返る大泉は、撮影についても「“こんなに楽しい現場でいいのか?”と思うほど楽しくて、小百合さんと過ごした時間は素敵でした」と回顧し、思い入れ深い共演となった様子を明かしていた。日本映画界を代表する実力派俳優の共演にも、ぜひ注目したい。
『こんにちは、母さん』
2023年9月1日(金)より、全国ロードショー
監督・脚本:山田洋次
原作:永井愛「こんにちは、母さん」
脚本:朝原雄三
出演:吉永小百合 大泉洋 永野芽郁 寺尾聰 宮藤官九郎 YOU 枝元萌
配給:松竹
【ストーリー】大会社の人事部長として日々、神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。「こんにちは、母さん」しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい…。割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされていく。
©2023「こんにちは、母さん」製作委員会