内田也哉子「まるでおとぎ話の舞台のようなほんとうの話」『アダマン号に乗って』本予告編

本年度ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金熊賞を受賞した日仏共同製作によるニコラ・フィリベール監督最新作『アダマン号に乗って』が、4月28日より公開される。このほど、エッセイストの内田也哉子がナレーションを担当した本予告編とコメントがお披露目となった。

5年ぶりの新作の舞台は、パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船。ユニークなデイケアセンター“アダマン号”。精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートをしている。運営するのは、精神科医療の世界で起こる“質の低下”や“非人間化”の波にできる限り抵抗しようとするチームだ。患者もスタッフも区別なく、誰しもにとって生き生きと魅力的なこの場所を、監督は「奇跡」だという。そして本作でもニコラ監督は、ここにやってくる人たちに寄り添い、優しい眼差しで捉え見つめ続ける。

■内田也哉子(エッセイスト)コメント
「セーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船」まるでおとぎ話の舞台のようなほんとうの話。このフィルムが、ある日常を映し出しているという紛れもない奇跡に、生きることの根っ子を見る。私と私じゃない人の境目は幻想だということも。ニコラ・フィリベール監督の平らかな眼差しに、ただただ感服する。

『アダマン号に乗って』
2023年4月28日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開
監督:ニコラ・フィリベール
配給:ロングライド

© TS Productions, France 3 Cinéma, Longride – 2022