様々なテーマを愛と毒のある切り口で、数々のコラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説を、『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』などの松永大司監督が鈴木亮平主演、宮沢氷魚共演で映画化する『エゴイスト』が、2023年2月10日より公開される。このほど、予告編、本ビジュアルがお披露目となった。
まるで自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔。最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。浩輔は龍太との出会いによって鎧を脱ぎ捨て、誰かを心から愛する喜びを知っていく。しかしやがて大切な人との関係を断たれたとき、浩輔はこの愛のかたちは自己満足なのではないか、彼らを追い詰めていたのではないかと、自問自答を始めることになる。愛とは自分を救うためのエゴなのか、それとも……? 前半の甘美な展開から一転、浩輔が自らに向ける根源的な問いが観る者の心を揺さぶり、観終わったころには『エゴイスト』というタイトルが、さらに胸の深い場所に刺さることだろう。戸惑うほどに深くて静かな愛と赦しの物語が誕生した。
先日開催された第35回東京国際映画祭で、見事コンペティション部門に選出された『エゴイスト』。いち早く映画祭で観た観客からは、「言葉も無用なほど純愛に満ち溢れた傑作」「この映画の記憶を反芻しそうだ」「キャスティングがぴったり」「すべてよかった。文句がつけられない」「惹かれ合うこと、求め合うことの美しさが投影されていた」「あの世界の中に永遠に、い続けたかった」「涙を流しつつ歯を食いしばって観ていたので顎が痛い」など、キャスト陣たちの演技や、本作の世界観にハマる人が続出。来年の公開作品でありながら、既に絶賛コメントが溢れる注目作となっている。
このほど、それらの魅力がたっぷり詰め込まれた予告編と、本ビジュアルが完成した。まるで自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きているファッション誌編集者の浩輔(鈴木亮平)。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母(阿川佐和子)を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)。2人は惹かれ合い、恋人になるまで時間はかからなかった。息子がゲイであることを知らずに「お前もそろそろいい歳なんだし。いい人いないのか」と悪気なく言ってくる父親(柄本明)の言葉をかわしつつも、龍太の実家を初めて訪れる時には「恋人の親に会うとか無いから」と不安や緊張でいっぱいになる浩輔。普段は年上の恋人として余裕を見せる浩輔の頼りない姿に「いつも通りで大丈夫だから。恋人だなんて言うわけないでしょ」と優しく背中を押す龍太。14歳で母を失い、未だ亡き母を思慕する浩輔にとって、時に龍太の母も交えながら和やかな満ち足りた時間を重ねていくことは幸せそのものだった。しかし、ドライブに出かける約束をしていたある日、龍太は姿を現さず、浩輔の元に一本の電話がかかってくる…。終盤に畳み掛けられていく幸せに満ちた2人の姿から一転、「僕は愛が何なのかよくわからないです」という浩輔が絞り出す弱々しいつぶやきで幕を閉じる予告。その後押し寄せる展開がとても気になる内容となっている。
本ビジュアルは、浩輔と龍太がベッドでキスを交わすシーンを切り取ったもの。本作で鮮烈な愛を体現した鈴木亮平と宮沢氷魚の姿のほかに、タイトル『エゴイスト』が示す意味のヒントを表した「愛は身勝手。」というストレートでシンプルなキャッチコピーも目を引く。
『エゴイスト』
2023年2月10(金)より公開
原作:高山真「エゴイスト」(小学館刊)
監督・脚本:松永大司
脚本:狗飼恭子
音楽:世武裕子
出演:鈴木亮平 宮沢氷魚 中村優子 和田庵 ドリアン・ロロブリジーダ 柄本明 阿川佐和子
製作幹事・配給:東京テアトル
【ストーリー】 14歳で母を失い、田舎町でありのままの自分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし2人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。
© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会