“安楽死”を決めた父が、なんだか生き生き!?名匠フランソワ・オゾン監督作『すべてうまくいきますように』予告編

『スイミング・プール』(03)の脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を基に、名匠フランソワ・オゾンと、フランスの国民的俳優ソフィー・マルソーが初タッグを組んで、安楽死を望む父親に振り回される娘の葛藤を描くドラマ『すべてうまくいきますように』が2023年2月3日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

最期の日を決めた父と娘たちの前に、愛や倫理、法律や宗教など様々な理由から反対する者たちが立ちはだかる。果たして父は決行するのか、考えを変えるのか、誰かが止めるのか、あるいは安楽死を禁ずるフランスの法律に止められるのか。サスペンスフルなストーリーテリングを得意とするオゾンが、緊迫感に満ちた展開の先に用意した、想像を裏切る結末とは?

予告編では、エマニュエル(ソフィー・マルソー)が右半身不随になってしまった父・アンドレ(アンドレ・デュソリエ)から、自分らしく一生を終えるために“安楽死”の手伝いをしてほしいとお願いされるシーンから始まる。愛する父からの思わぬ発言に困惑するエマニュエル。つい「悪い父親よ。友達ならよかった」と嘆くが、「なら友達として手を貸すのよ」と友人から背中を押されることで、妹・パスカル(ジェラルディーヌ・ペラス)とともに父の最後の願いに寄り添うことを決意。しかし、安楽死の選択はフランスの法律では難しいため、スイスの安楽死を支援する協会とともに着々と段取りを進めていく。姉妹にとっては直視しがたい現実だが、当の本人は元気に液体を飲む練習をしたり、「我が肉体を捧げよう!」と皮肉たっぷりに宣言したりと、なんだか生き生きとしている。少しずつ体力も回復し、お気に入りのレストランや孫の演奏会に出向くなど、生きる喜びを取り戻したかのように見えるが…。父の願いと娘たちの願い、そして様々な人の複雑な想いが交錯するなか、“最期の日”が近づいてくる。

ポスタービジュアルは、どこか遠くを見つめる父の額に、娘が微笑みながらキスを贈る場面が切り取られている。祝福・友情という意味も持つ額へのキスは、最後まで自分らしく生き抜こうとする父へ向けた娘からの“はなむけ”なのか。わがままな父の願い事に対して、戸惑いながらも真摯に向き合う娘の愛と葛藤を「それでも、あなたと家族でよかった。」というコピーに託している。自分らしく最後を迎えたいという父。迷いながらも、すべてうまくいきますようにと願う娘。これまでも“死”にまつわるテーマを繰り返し描いてきたフランソワ・オゾンの集大成的作品に期待は高まるばかりだ。

『すべてうまくいきますように』
2023年2月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ 他公開
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ソフィー・マルソー アンドレ・デュソリエ ジェラルディーヌ・ペラス シャーロット・ランプリング ハンナ・シグラ エリック・カラヴァカ グレゴリー・ガドゥボワ
配給:キノフィルムズ

【ストーリー】 芸術や美食を楽しみ、ユーモアと好奇心にあふれ、何より生きることを愛していた85歳の父アンドレが突然、安楽死を願う。脳卒中で倒れたことによって、身体の自由がきかなくなったという現実が受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいと娘のエマニュエルに頼んだのだ。小説家のエマニュエルは妹のパスカルと、父の気が変わることを望みながらも、スイスの合法的に安楽死を支援する協会とコンタクトをとる。一方で、リハビリが功を奏し日に日に回復する父は、孫の演奏会やお気に入りのレストランへ出かけ、生きる喜びを取り戻したかのように見えた。だが、父はまるで楽しい旅行の日を決めるかのように、娘たちにその日を告げる。娘たちは戸惑い葛藤しながらも、父と真正面から向き合おうとする。

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