青山真治監督に見出され、映画作家であり、「Bialystocks」として音楽活動もしている甫木元空による長編第2作で、『はだかのゆめ』が、11月25日に公開される。このほど、予告編と本ポスタービジュアルがお披露目となり、併せて黒沢清監督より新たなコメントが寄せられた。
本作の舞台は四国山脈に囲まれた高知県。四万十川のほとりに暮らす一家、息子のノロ、母、祖父の親子3代にわたる時間と、その時間の境界線を飛び越えた触れ合いの、そしてそれでも触れることのできない残酷な距離の物語を描く。
5年ほど前より自身のルーツのある高知県に移住した甫木元空監督。そこで祖父と、闘病中の母とともに暮らすなかで、何気ない二人の言葉を書き留めたものを恩師である青山真治監督に送るという作業を繰り返していた。当初は小説としてまとめていたその文章から、自分の中で残ったものを再抽出して、シナリオ化したものが『はだかのゆめ』の始まりだった。撮影は2021年10月におこなわれた。主人公ノロを演じるのは、いま話題作への出演が相次ぐ青木柚。そして甫木元監督が黒沢清監督の『大いなる幻影』の佇まいを意識して、本作への出演をオファーしたという唯野未歩子がノロの母役を務めている。劇中で、謎めいた酔っぱらいの”おんちゃん”を演じるのは、ミュージシャンの前野健太。また、甫木元監督の実の祖父が”じい”役として出演。脚本にも実際に祖父から聞いたという話が散りばめられており、この物語に欠かせない存在感を放っている。
本ポスタービジュアルは、部屋の中で机に向かうノロの場面写真を使用。「いつか夢にくらい顔をだしてくれたら」というコピーが添えられている。
予告編は、かつて青山真治監督から甫木元監督に贈られた<日本映画に現れた、甫木元空という「最後の映画作家」>という言葉と、黒沢清監督から新たに届いた下記コメントから始まり、ノロの「生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるような」という印象的なセリフとともに、日々の営みを切り取っている。
■黒沢清(映画監督)コメント
突如ぷわーんと走ってくる列車に戦慄する。唯野未歩子がサラッと口にする言葉がものすごい。ホラーではないが、これは間違いなく死の映画だ。
『はだかのゆめ』
2022年11月25日(金)より、渋谷シネクイントほか全国順次公開
監督・脚本・編集:甫木元空
出演:青木柚 唯野未歩子 前野健太 甫木元尊英
配給:boid/VOICE OF GHOST
【ストーリー】 四国山脈に隔たれた高知県。いまだダムのない暴れ川の異名をもつ四万十川。太平洋に流れ出るその川の流れと共に、生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるかのような土地で老いた祖父と余命をそこで暮らす決意をした母、それに寄り添う息子、ノロ(青木柚)。嘘が真で闊歩する現世を憂うノロマなノロは近づく母の死を受け入れられずに死者のように徘徊している。そのノロを見守るように寄り添うおんちゃん、彼もまたこの世のものではないのかもしれない。息子を思う母、母を思う息子がお互いの距離を、測り直していく、母と子の生死の話。
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