畑芽育「地獄はもうたくさん。楽になりたい」森の中で命と向き合う人々の物語『森の中のレストラン』予告編&場面写真

人里離れた森の奥にあるレストランを舞台に、孤独なシェフと絶望を抱えこの森へとやってきた少女との出会いを描いく『森の中のレストラン』が、11月19より公開される。このほど、予告編と場面写真がお披露目となり、キャストよりコメントが寄せられた。

哀しい過去を持つシェフ・恭一を演じるのは、テレビ・ラジオのパーソナリティーなど多方面で活躍する船ヶ山哲。恭一のレストランを訪れる少女・沙耶を演じるのは、来春公開される映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』のヒロイン役にも抜擢された畑芽育。そして、森永悠希、小宮孝泰、染谷俊之、奥菜恵、佐伯日菜子、谷田歩ら、実力派キャストが脇を固める。監督は本作が長編デビュー作となる泉原航一。泉原監督は、【ゲートキーパー】という「自殺の危険を示すサインに気づき、適切に寄り添い支援する人」の存在を知り、本作の制作をスタートした。美しい森の中で、命と向き合う人々の物語が繰り広げられる。

予告編は、レストランで腕を振るうシェフ・京一(船ヶ山哲)の悲しい過去、「地獄はもうたくさん」と呟き森へ向かう少女・紗耶(畑芽育)の後ろ姿、「また一人逝っちまったよ」と嘆く猟師・欣二(小宮孝泰)の横顔などが映し出され、息苦しい雰囲気が漂う物語が描かれる。

▼キャスト コメント

■小宮孝泰
鉄砲なんか持ったこともなく、薪割り経験さえない私が猟師の役をやらせてもらった。鹿肉の解体場面、罠にかかって殺処分されたばかりの生温かい鹿の背中に大きなナイフを差し込んだ時、思いのほか柔らかな肉の感触が私の心を総毛立たせた。私もまたこの鹿の命を奪ったのだという気がした。この映画では大事なものを喪って自分の命を奪おうとする人間たちに焦点が当たる。翻って食とは生きることの証だ。生き物の命を奪ってさえ人間は生きる。さあ、彼らにとって食は何をもたらすのかを考えさせられる物語が生まれたなと思う。もちろん私は生きる方を選びたい。

■谷田歩
自分が演じさせて貰ったのは、モンスターの様な父親。あり得ない父親、あり得ない家族、けれど、自分の周りでは起こっていないと思っているだけで、日々ニュースで流れる虐待死した子供達、家庭内暴力により亡くなる人達、自殺する人。もしかしたら毎日会う人達の中にもそういう人がいるのかも知れない。そういうリアリズムを持って観ていただけたらと思います。そして、こんな時代に今、自分に何が出来るのか、フトした時に考えて貰える作品になっていたら幸いです。

■佐伯日菜子
少し勇気のいる役でした。でも、穏やかで優しい現場や完成した映像に背中を押されるようにまた一つ参加して良かった作品が増えました。ありがたいです。この映画が「明日なんて来なければいい。」「あーもう全部消えてしまえばいい。」そう思った誰かの心を、一匙のスープのように温めることが出来ればとても嬉しく思います。

■奥菜恵
幸せな家族を突如襲った愛する娘の死。今回、私はその娘の母親役として携わらせていただきましたが、心が押し潰されてしまいそうになるほど、重く苦しい時間でした。あまりにも不条理な現実にやり切れない思いを抱えながらも、亡くした娘のためにも前を向いて生きていくという強い意志や覚悟が必要な役でした。いざ本番になると、根底に眠っていたそれまでの複雑な思いまで予測なく溢れてきてしまう場面もあり、役を通して命の重みや誰かの力になるということを改めて考えさせられる作品となりました。

■森永悠希
コロナウィルスの影響で、人と人との繋がりがより希薄になってしまって、普段以上に深刻に、生きづらさや孤独感を感じる方が沢山いらっしゃると思います。そんな中で、ゆっくりと考える時間をくれるような作品だと思っています。観てくださった方々が、観終わった後に、観る前よりも少しでも気持ちが楽になっていたら幸いでございます。

■染谷俊之
海斗役を演じさせて頂きました染谷俊之です。本当に森の中で撮影させて頂き、都会の喧騒を忘れて、非日常を味わう事ができました。生きていく上で、人それぞれの悩みを抱えていたり悲しい出来事があったり、感じる度合いも人それぞれで、その痛みは本人にしか分からないもの。誰にも言えない傷を癒してくれる、こんな森の中のレストランが本当にあったらいいなと思いました。劇場でぜひご覧ください。

『森の中のレストラン』
2022年11月19日(土)より、K’sCinemaほか全国順次公開
脚本:幸田照吉
監督:泉原航一
出演:船ヶ山哲 畑芽育 森永悠希 染谷俊之 奥菜恵 佐伯日菜子 谷田歩 小宮孝泰
配給:NeedyGreedyフルモテルモ

【ストーリー】 思いつめた表情で森の中を歩く男。木の枝にロープをかけて自殺を図ろうとするが失敗してしまう。気絶した男・恭一を助けたのはこの森の猟師・欣二だった。数年後、恭一は欣二の所有していたレストランを任され働いていた。人里離れた森の中のレストランだが、三ツ星フレンチの名店で腕を磨いた恭一の料理は評判で、遠方からのお客も絶えない。しかし一方で、この森で命を絶とうとする人が“最後の晩餐”を求めてやって来るという噂があった。そしてある日、絶望を抱えた少女・沙耶がこの森へとやってきた…。

©森の中のレストラン製作委員会