日常に潜むグレーゾーンに光を当ててきた森達也監督が、1923年に千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件を劇映画化する『福田村事件』(仮題)が、2023年より公開されることが決定した。併せて、井浦新と田中麗奈が出演することが発表された。
題材は、1923年9月1日に発生した関東大震災の発災から5日後、千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件。行商団9人が地震後の混乱の中で殺された。彼らはなぜ殺されたのか、村人たちはなぜ彼らを殺したのか。
荒井晴彦が企画し、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦の3名が担当。関東大震災時に各地で起きた「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにする。
主演は現在の日本映画界で圧倒的な存在感を放ち、なくてはならない重要な俳優としての歩みを重ね続ける井浦新と、森監督が本作への出演を熱望し、荒井晴彦が脚本を担当した映画『幼な子われらに生まれ』では、第41回山路ふみ子女優賞、第42回報知映画賞ほか数々の助演女優賞を獲得し揺るぎない実力を持つ田中麗奈が務める。
『福田村事件』(仮題)
2023年公開予定
監督:森達也
出演:井浦新 田中麗奈
配給:太秦
【ストーリー】 1923年春、澤田智一(井浦新)は教師をしていた日本統治下の京城(現ソウル)を離れ、妻の静子(田中麗奈)と共に故郷の福田村に帰ってくる。智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であった。しかし、妻の静子にも、その事実を隠していた。その同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発する。9月1日に関東地方を襲った大地震、多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥る。そして運命の9月6日、行商団の15名は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまう。