2018年に「ファーストラヴ」で第159回直木三十五賞を受賞し、これまでにも「ナラタージュ」「Red」などの著作が映画化されてきた作家、島本理生の傑作恋愛小説を、松井玲奈主演、中島歩共演で映画化する『よだかの片思い』が、2022年9月16日に公開されることが決定した。併せて、本予告編と主題歌、ポスタービジュアルがお披露目となった。
理系女子大生・前田アイコは、顔の左側にあるアザのせいで恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と会う。アイコは話をするうちに彼の人柄に惹かれていき、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。
予告編では、アイコの飛坂への切ない距離感を感じるラブストーリーとして見せるのみならず、彼女が自分の人生を生きていくことそのものと向き合い、悩み、考え、前に進んでいく様が繊細に描かれている。主題歌を担当したのは、音楽家の角銅真実。角銅は、「ラストシーンのアイコの眼差しがとても印象的でした。はっきりと輪郭を持ち光を湛えるその瞳の内側と視線の先に向けて、手を振るように言葉と音とを連ねました」とコメントを寄せ、その静謐なピアノ音と、濁りのない透き通った歌声が聴く者を甘美な陶酔感とともに優しく包摂する音楽を紡ぎだす。安川監督も「多彩な感情が喚起される素晴らしい曲で、主人公の未来にまで思いを馳せたくなるような、広がりと余韻を感じました」と角銅の書下ろし楽曲を絶賛している。
ポスタービジュアルでは、「あなたに、私の左側にいてほしい」という、これまで誰にも想ったことのないアイコの飛坂への想いを象徴したコピーと共に、真っすぐこちらを見つめるアイコの姿と陰りのある表情でたたずむ飛坂の姿が写し出されている。すべてをさらけ出そうとして相手と向き合うアイコとどこか本心の見えない飛坂の対照的な二人の眼差しが特徴だ。
本作は、アイコの姿は、誰もが抱える弱さと響き合い、その弱さを新しい視点で見直し、アイコと共に一歩前へ踏み出す力を与えてくれるはず。ルッキズムへの批判や多様性の尊重が広まり、見た目や個性への関心がかつてない程高まっている今という時代に、世代や性別を超えて幅広く、静かに、でも確かに、心に響く傑作が誕生した。
『よだかの片思い』
2022年9月16日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督:安川有果
原作:島本理生「よだかの片想い」
脚本:城定秀夫
出演:松井玲奈 中島歩 藤井美菜 織田梨沙 青木柚 手島実優 池田良 中澤梓佐 三宅弘城
配給:ラビットハウス
【ストーリー】 理系女子大生の主人公・前田アイコ(松井玲奈)の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者の手引きで、監督の飛坂逢太(中島歩)と会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。
©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会