斎藤工「本作に寄り添えた事は私の大いなる財産」、杉野希妃「愚かさこそが人間の本質」『愛のまなざしを』特報映像

『接吻』で各賞を受賞した鬼才・万田邦敏監督の最新作で、仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆりが共演を果たす映画『愛のまなざしを』が、11月12日より公開される。このほど、本作の特報映像と新場面写真がお披露目となり、併せて、仲村トオル演じる精神科医・貴志からの愛を渇望する水野綾子役の杉野希妃と、死んだ姉に恋焦がれる内山茂役の斎藤工よりコメントが寄せられた。

本作は、これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた鬼才・万田邦敏監督が、カンヌ国際映画祭にてダブル受賞した『UNloved』、比類なき傑作『接吻』に続き、共同脚本・万田珠実と3度目のタッグを組んだ愛の3部作最終章。妻を亡くしたことで、もう二度と誰も愛せないと思いつめ、生と死のあわいを彷徨うように生きる精神科医の前に現れたのは、彼を救済するかのような微笑みをたたえた女だった。堰を切ったかのように女に溺れていく男、愛を求め続けても誰からも返されることなく孤独の果てを彷徨ってきた女。二人はそれぞれの日常を捨て、激しく求めあう。しかし、女には別の顔が存在した…。男が信じた愛は、そこに確実に存在したのか?そしてそれは「愛」そのものであったのか?

■杉野希妃(水野綾子役) コメント
『愛のまなざしを』は、実体のないものに囚われ、愛を渇望する人たちの話です。不器用な生き方しかできない綾子という人物を演じながら、彼女を激しく嫌悪し、同情し、共感しました。万田監督のきめ細やかな演出に従うにつれ、綾子は飢えた獣なのだと実感し、理性を剥ぎとるよう努めました。彼女の弱さと強さは私自身のものでもあり、そのことがまるで鏡のように反射して撮影を終えてもなお自分を苦しめました。愚かな女だと言ってしまうのは簡単だけれど、愚かさこそが人間の本質かもしれません。コロナ禍の今、彼女の切実さをやっと愛せるような気がしています。愛のまなざしをぜひ劇場で感じてください。

■斎藤工(内山茂役) コメント
万田邦敏監督の唯一無二の映画文法の元生まれた、愛の三部作最終章である本作に寄り添えた事は私の大いなる財産です。曖昧で不確で奇妙な人間と言う生き物の生む愛憎と言う普遍的な物語。そこに映し出されるは他人事なのか。はたまた我が事なのか。(感染対策を万全にした上で)劇場で出逢って浸って頂けたら幸いです。

『愛のまなざしを』
11月12日(金)より、渋谷ユーロスペース、池袋シネマ・ロサ、キネカ大森、イオンシネマほか全国順次公開
監督・脚本:万田邦敏
脚本:万田珠実
音楽:長嶌寛幸
出演:仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐 万田祐介 松林うらら ベンガル 森口瑤子 片桐はいり
配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント

【ストーリー】 亡くなった妻に囚われ、夜ごと精神安定剤を服用する精神科医・貴志(仲村トオル)のもとに現れたのは、モラハラの恋人に連れられ患者としてやってきた綾子(杉野希妃)。恋人との関係に疲弊し、肉親の愛に飢えていた彼女は、貴志の寄り添った診察に救われたことで、彼に愛を求め始める。いっぽう妻(中村ゆり)の死に罪悪感をいだき、心を閉ざしてきた貴志は、綾子の救済者となることで、自らも救われ、その愛に溺れていく…。しかし、二人のはぐくむ愛は執着と嫉妬にまみれ始め、貴志の息子・祐樹(藤原大祐)や義父母との関係、そしてクリニックの診察にまで影響が及んでいく。そんな頃、義弟・茂(斎藤工)から綾子の過去について知らされ、さらに妻の秘密までも知ることとなり、貴志は激しく動揺するのだった。自身の人生がぶれぬよう、こらえてきた貴志のなかで大きく何かが崩れていく。失った愛をもう一度求めただけなのに、その渦の中には大きな魔物が存在し、やがて貴志の人生を乗っ取り始める。かたや綾子は、亡き妻にいまだ囚われる貴志にいらだち、二人の過去に激しい嫉妬をいだく。彼女は貴志と妻の愛を越え、極限の愛にたどりつくために、ある決断を下すのだった…。

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