「どんでん返しの帝王」の異名をとり、今年、作家生活10周年を迎える中山七里の傑作小説「護られなかった者たちへ」を、瀬々敬久監督が佐藤健主演、阿部寛共演で映画化する『護られなかった者たちへ』が、10月1日に公開される。このほど、8月15日にＴＯＨＯシネマズ 六本木ヒルズにて完成披露イベントが行われ、キャストの佐藤健、阿部寛、清原果耶、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子、瀬々敬久監督が登壇した。

最初に挨拶した佐藤は「東日本大震災がどれほどの被害と悲しみを我々にもたらしたかというのは、世界中の人々が知るところ。しかし実際には震災そのものだけでなく、波及した様々な問題が我々の日常を侵食していて、今回は生活保護に焦点を当てて撮影した」とコメント。続けて「今の日本に投げかける意義のある作品になった」と完成した作品に胸を張った。

『劇場版TRICK　霊能力者バトルロイヤル』以来、11年ぶりの共演となる佐藤と阿部。阿部の印象の変化について聞かれた佐藤は、「阿部さんは、阿部さん」とし、「僕は『TRICK』というドラマが好きすぎて、それがきっかけで役者になりたいと思ったぐらいの作品」とし、「『TRICK』出演時に堤幸彦監督に直談判して、初めて阿部さんとご一緒させていただいて、僕の目の前で阿部さんが演じている姿は今でも鮮明に覚えていて、それぐらい僕にはかけがえのない時間だった」ことを明かした。

対する阿部は佐藤に対して「今回は佐藤さんの役を見ながら自分の役を作っていった。全て佐藤さんに委ねた」と述べ、「非常に集中力のある素晴らしい役者さん」と11年ぶりに再会した俳優・佐藤を絶賛した。

最後に佐藤は、「この映画で、誰かが誰かに生きていてほしいと思う気持ちに一番心を打たれました。大切な人がいるという日常に感謝し、幸せを噛み締めならが、みんなでより良い国に、より良い生活を目指して、共に考えるきっかけとなる映画になっていると思います」とし、イベントを締めくくった。

『護られなかった者たちへ』
10月1日（金） 全国公開
監督・脚本：瀬々敬久
原作：中山七里「護られなかった者たちへ」
脚本：林民夫
音楽：村松崇継
主題歌：桑田佳祐「月光の聖者達（ミスター・ムーンライト）」
出演：佐藤健　阿部寛　清原果耶　林遣都　永山瑛太　緒形直人　岩松了　波岡一喜　奥貫薫　井之脇海　宇野祥平　黒田大輔　西田尚美　千原せいじ　原日出子　鶴見辰吾　三宅裕司　吉岡秀隆　倍賞美津子
配給：松竹

【ストーリー】　東日本大震災から10年後の仙台で、全身を縛られたまま放置され“餓死”させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。被害者はいずれも、人格者として知られた人物だった。捜査線上に浮かんだのは、別の事件で服役し出所したばかりの利根（佐藤健）という男。刑事の（阿部寛）は、利根と被害者たちとの接点を見つけ出し彼を追い詰めていくが、決定的な確証がつかめないまま、第3の事件が起きようとしていた。なぜ、このような殺し方をしたのか？利根の過去に何があったのか？やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく。

©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会