「陽だまりの彼女」の越谷オサムによる同名小説を、横浜聡子監督が駒井連主演、豊川悦司共演で映画化する『いとみち』が、6月25日より公開される。このほど、本作の予告編とポスタービジュアル2種がお披露目となった。
青森県・津軽を舞台に、人見知りで内気な津軽弁少女・いとの青春を描く本作。タイトルにもなっている“いとみち”とは、三味線を弾くときに爪にできる糸道(溝)のこと。そこから名前の由来をもつ相馬いとは、青森県弘前市の高校に通う16歳。特技は祖母と、今は亡き母から引き継いだ津軽三味線だが、強い津軽弁訛りと人見知りのせいで、本当の自分を誰にも見せられず友人も少ないが、ひょんなことから始めたメイドカフェでのアルバイトがきっかけで大きく変わっていく。
予告編では、「アホみてぇだっきゃ」と大好きだったはずの津軽三味線から遠ざかってしまう思春期ゆえのいと(駒井連)の心の葛藤や、津軽メイド珈琲店でバイトを始めたことによるいとと父親・耕一(豊川悦司)とのすれ違いが映し出される。人見知りを直すために飛び込んだバイト先だったが、いとは突然訪れた店の危機を救うため「三味線弾がせでください」と店長へ申し出る。従業員、常連客が愛すべきこの小さなメイドカフェは、この先一体どうなるのか?映像では、この3月で引退の決まった五能線の車両が最後の雄姿を見せる。そして岩木山、浅虫海岸など青森の雄大な自然に、メンバーの和嶋と鈴木が弘前市出身であるロックバンド人間椅子による挿入歌「エデンの少女」が人間賛歌のように鳴り響く。主演の駒井蓮が1年がかりで特訓した津軽三味線の音色と、新進気鋭の音楽家である渡邉琢磨の劇伴にも要注目だ。
ポスタービジュアルはそれぞれ、青森×津軽三味線×メイドカフェのコンビネーションの醍醐味が感じられる。ひとつは“青”バージョンとし、岩木山をバックにメイド服姿のいとが溌剌とジャンプし、「わぁ、三味線弾ぐ!」と叫んでいる。自分の殻を破り、お店の危機を打ち破ろうとするいとのパワーが感じられ、青森を愛し、青森で生きる少女の躍動感が伝わってくる。一方、赤×白の背景が鮮烈な印象を与える“赤”バージョンのビジュアルは、「少女よ、駆け抜けろ!」のコピーが印象的。芯はじょっぱり(意地っ張り)という、あえて笑顔のない仁王立ちのいとがこちらを見据えるデザインで、横浜聡子監督らしい、不器用ながらも今の自分から脱却しようとする少女の衝動を表現した。そんないとを見守るように父親・耕一、祖母ハツヱ(西川洋子)が配置され、メイドカフェの仲間たちであるシングルマザーの幸子(黒川芽以)と漫画家志望の智美(横田真悠)、店長工藤(中島歩)、オーナー成田(古坂大魔王)、同級生の早苗(ジョナゴールド)、常連客青木(宇野祥平)など個性的なキャラクターたちが集結する。
『いとみち』
6月18日(金) 青森先行上映
6月25日(金) 全国公開
監督・脚本:横浜聡子
原作:越谷オサム「いとみち」
出演:駒井蓮 豊川悦司 黒川芽以 横田真悠 中島歩 古坂大魔王 ジョナゴールド(りんご娘) 宇野祥平 西川洋子
配給:アークエンタテインメント
【ストーリー】 “いとみち”とは三味線を弾くときに指にできる糸道のこと。そこから名前の由来をもつ相馬いと(駒井蓮)は、青森県弘前の高校に通う高校生。特技は祖母と、今は亡き母から引き継いだ津軽三味線だが、強い津軽弁訛りと人見知りのせいで、本当の自分を誰にも見せられず、友人もいない。そこで、思い切ってはじめたアルバイト先は、なんとメイドカフェ。少しあやしげな店長、先輩メイドたちのシングルマザーの幸子(黒川芽以)、漫画家を目指す智美(横田真悠)、そして風変りな常連客たち。メイドカフェで働く娘を心配しつつ見守る父親も登場し、いとの成長を描く。メイド服で津軽三味線をかき鳴らすいとが、本当の自分を解放する時、自分らしく、色鮮やかな人生を織りなしていく。
©2021「いとみち」製作委員会