イギリスを代表する奇才マイケル・ウィンターボトム監督が、ファストファッションブランドを経営し、業界トップにまで上り詰めたリチャード・マクリディの栄光と転落を描いた映画『GREED(原題)』が、邦題『グリード ファストファッション帝国の真実』として6月に公開されることが決定した。
「グリード=強欲」の意味を持つ本作は、金と欲がすべてのリチャード・マクリディ卿のセレブレティな生活の裏に隠されたファッションビジネスの闇を、イギリスらしい痛烈な風刺とウィットに富んだジョークをふんだんに散りばめ、鋭い視線で暴き出す。
監督を務めるのは、『イン・ディス・ワールド』、『グアンタナモ、僕達の見た真実』で国際問題を取り上げ、それぞれベルリン国際映画祭で金熊賞、銀熊賞を受賞したマイケル・ウィンターボトム。今回はユーモアを織り交ぜながら経済第一主義の社会への問題提起に挑んだ。各国の企業が持続可能な開発(SDGs)を取り入れ始めている昨今においてウィンターボトムは、「資本主義の移り変わりと共に、グローバル化が世界をどう変えていったのか。例えばスリランカの縫製工場で働く女性たちや、イギリスのファストファッション業界の企業買収など。これらを架空の人物を通して見ることができるのがこの作品の良さだ」とコメント。資本主義のタブーを大いに笑い飛ばしながら楽しめる快作を誕生させた。
主人公リチャードのモデルは、昨年に破産申請をした「TOPSHOP」を始めとする複数のファストファッションブランドを保有していたアルカディア・グループのオーナー、フィリップ・グリーン卿。日焼けした肌と不自然なまでに白く輝く歯という、富裕層特有の外見に近づけるために肌を小麦色に塗り、付け歯を装着して役に臨んだのは、イギリスのカリスマ的コメディ俳優、スティーヴ・クーガン。ウィンターボトム監督作『24アワー・パーティ・ピープル』の出演をきっかけに監督と交流を深め、本作で7度目のタッグとなるスティーヴが、資本主義が生んだ怪物リチャードの生き様を皮肉たっぷりに演じる。
そのほか、リチャードに負けず劣らずお金に目がない元妻に『グランド・イリュージョン』のアイラ・フィッシャーが扮するほか、『24アワー・パーティ・ピープル』のシャーリー・ヘンダーソン、Netflixオリジナルシリーズ「セックス・エディケーション」の主演で注目を集めるエイサ・バターフィールドらが集結した。
『グリード ファストファッション帝国の真実』
6月 TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本:マイケル・ウィンターボトム
出演:スティーヴ・クーガン アイラ・フィッシャー シャーリー・ヘンダーソン エイサ・バターフィールド
配給:ツイン
【ストーリー】 ギリシャ・ミコノス島。ファストファッションのブランド経営で財を成したリチャード・マクリディ(スティーヴ・クーガン)の還暦を祝うため、リチャードの元妻サマンサ(アイラ・フィッシャー)、息子のフィン(エイサ・バターフィールド)、マクリディの母マーガレット(シャーリー・ヘンダーソン)を始めとする一家が集結し、パーティーの準備が進められていく。折しもイギリス当局から脱税疑惑や縫製工場の労働問題を追及されたリチャードは、ド派手にショーアップされたこのイベントでかつての威光を取り戻そうと目論む。しかし湯水のように金を使い、傲慢に振る舞うリチャードと、家族や部下、伝記作家との間には不協和音が生じる…。
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