2019年のベネチア国際映画祭で『ジョーカー』以上に話題を集めユニセフ賞を受賞した映画『異端の鳥』の公開日が10月9日に決定した。併せて、予告編がお披露目となった。
第二次大戦中、ナチスのホロコーストから逃れるために、たった一人で田舎に疎開した少年が差別と迫害に抗いながら強く生き抜く姿と、異物である少年を徹底的に攻撃する“普通の人々”を赤裸々に描いた本作。
予告編は、主人公の少年が大切そうにか弱いフェレットを抱え、息を切らしながら懸命に何者かから逃げようとする映画のオープニングシーンから幕を開ける。そして、次の瞬間、彼と背丈の変わらない幼い少年から体当たりを受ける…。家族とはぐれた少年は、瞳や髪、肌の色が違うために行く先々で“よそ者”“異端”扱いされ、差別され、「この子は悪魔の使いだ。我らに死を招く」という言葉まで向けられる。人々の憎悪と暴力の矛先は、少年だけに留まらない。戦争という狂気のうねりの中で多くの人命が虫けらのように扱われ、自己正義や嫉妬といった大義名分のもと人間が持つ凄まじい残虐性があぶりだされていく。幼気な少年は「家に帰る」という強い願いを胸に人間の悪意にたった一人で立ち向かい、圧倒されるような大自然の中をさまよいながら、逞しく生き抜いていく。
マルホウル監督は、本作製作にあたって「『異端の鳥』は悪についての探求、そして善と共感、愛についての物語です。本作の中に善と愛を発見する時、我々はその本質に感謝し、より多く求めます。これは人間が善を求めているという映画のポジティブなメッセージです。主人公の少年が“家に帰りたい”と泣いたとき、観客の皆さんも愛のある安全な場所に、家に帰りたいと思うでしょう。そして、私は『異端の鳥』が提起する質問に悩まされています。“人間は罰を受けることがなければ、悪に向かう”と言う心理学者は正しいのでしょうか?はたして悪は人生の闘いの中で、避けられないものなのでしょうか?私はまだこれらの答えを探し続けています。そして、特に今の時代における答えを知りたいと思っています」と語っている。
『異端の鳥』
10月9日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:ヴァーツラフ・マルホウル
原作:イェジー・コシンスキ「ペインティッド・バード」
出演:ペトル・コラール ステラン・スカルスガルド ハーヴェイ・カイテル ジュリアン・サンズ バリー・ペッパー ウド・キアー
配給:トランスフォーマー
【ストーリー】 東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの叔母が病死した上に火事で叔母の家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになる。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける…。
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