新型コロナウィルスの影響で、映画館、映画製作者、そして映画配給会社は困難な時代を迎えている。この難局を乗り越えるため、日本の独立系配給会社が「Help! The 映画配給会社プロジェクト」を立ち上げ、その緊急アクションとして「配給会社別 見放題配信パック」を開始することが発表された。併せて、映画界の著名人より、本プロジェクトを応援するコメント動画が公開された。
「配給会社別 見放題配信パック」は、アップリンク・クラウドを配信サービスとして、各配給会社が自社の過去作品をパックにして配信するプロジェクト。配給会社により作品数が異なるため、配信期間、料金も異なる。
コメント動画では、瀬々敬久監督、LiLiCo(映画コメンテーター)、ピーター・バラカン(ラジオパーソナリティ)、クリストファー・ドイル監督、ジュルジュ・ガショ監督、ツァイ・ミンリャン監督、パーシー・アドロン監督、ワン・ビン監督、エリック・クー監督など、世界の著名な映画人38名が本プロジェクトを応援するコメントを述べている。
▼「配給会社別 見放題配信パック」概要
■アップリンク・クラウドページ:
www.uplink.co.jp/cloud/features/2408/
■第1弾配信作品リスト(5月15日15時00〜配信)
●クレストインターナショナル見放題配信パック 3ヶ月2,480円(税込)
URL:https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2409/
『ピクニック』/ジャン・ルノワール監督
『愛して飲んで歌って』アラン・レネ監督
『アンジェリカの微笑み』/マノエル・ド・オリヴェイラ監督
『未来よ こんにちは』/ミア・ハンセン=ラブ監督
『めぐりあう日』/ウニー・ルコント監督
『いとしきエブリデイ』/マイケル・ウィンターボトム監督
『イタリアは呼んでいる』/マイケル・ウィンターボトム監督
『嘆きのピエタ』/キム・ギドク監督
『それから』/ホン・サンス監督
『夜の浜辺でひとり』/ホン・サンス監督
『正しい日 間違えた日』/ホン・サンス監督
『クレアのカメラ』/ホン・サンス監督
●ザジフィルムズ見放題配信パック 3ヶ月2,980円(税込)
URL:https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2410/
『女は女である』/ジャン=リュック・ゴダール監督
『女と男のいる舗道』/ジャン=リュック・ゴダール監督
『ゴダールのマリア』/ジャン=リュック・ゴダール監督
『5時から7時までのクレオ』/アニエス・ヴァルダ監督
『幸福』/アニエス・ヴァルダ監督
『ジャック・ドゥミの少年期』/アニエス・ヴァルダ監督
『ローラ』/ジャック・ドゥミ監督
『天使の入江』/ジャック・ドゥミ監督
『不滅の女』/アラン・ロブ=グリエ監督
『ヨーロッパ横断特急』/アラン・ロブ=グリエ監督
『嘘をつく男』/アラン・ロブ=グリエ監督
『エデン、その後』/アラン・ロブ=グリエ監督
『快楽の漸進的横滑り』/アラン・ロブ=グリエ監督
『囚われの美女』/アラン・ロブ=グリエ監督
『魔術師』/イングマル・ベルイマン監督
『仮面/ペルソナ』/イングマル・ベルイマン監督
『叫びとささやき』/イングマル・ベルイマン監督
『夏の嵐』/ルキノ・ヴィスコンティ監督
『家族の肖像』/ルキノ・ヴィスコンティ監督
『ロゴパグ』/パゾリーニ監督 ゴダール監督 ロッセリーニ監督ほか
『豚小屋』/ピエル・パオロ・パゾリーニ監督
『フレンチ・カンカン』/ジャン・ルノワール監督
『ミステリアス・ピカソ/天才の秘密』/アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督
『モンパルナスの灯』/ジャック・ベッケル監督
『聖なる酔っぱらいの伝説』/エルマンノ・オルミ監督
『ボイス・オブ・ムーン』/フェデリコ・フェリーニ監督
『ファスビンダーのケレル』/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督
『アリス』/ヤン・シュヴァンクマイエル監督
『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』/ラッセ・ハルストレム監督
『最初の人間』/ジャンニ・アメリオ監督
●セテラ・インターナショナル見放題配信パック 3ヶ月2,480円(税込)
URL:https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2411/
『あの頃エッフェル塔の下で』/アルノー・デプレシャン監督
『ファウスト』/アレクサンドル・ソクーロフ監督
『コーヒーをめぐる冒険』/ヤン=オーレ・ゲルスター監督
『ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』/エマニュエル・ローラン監督
『不機嫌なママにメルシィ!』/ギヨーム・ガリエンヌ監督
『あしたのパスタはアルデンテ』/フェルザン・オズペテク監督
『巴里祭 4K デジタル・リマスター版』/ルネ・クレール監督
『リラの門 4K デジタル・リマスター版』/ルネ・クレール監督
『危険な関係 4K デジタル・リマスター版』/ロジェ・ヴァディム監督
『TOMORROW パーマネントライフを探して』/メラニー・ロラン、シリル・ディオン監督
『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』/フレデリック・ワイズマン監督
『セザンヌと過ごした時間』/ダニエル・トンプソン監督
『マーラー 君に捧げるアダージョ』/パーシー・アドロン監督
『夜ごとの美女 デジタル・リマスター版』/ルネ・クレール監督
『悪魔の美しさ デジタル・リマスター版』/ルネ・クレール監督
●ミモザフィルムズ見放題配信パック 3ヶ月2,480円(税込)
URL:https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2412/
『母の身終い』/ステファヌ・ブリゼ監督
『大いなる沈黙へ ―グランド・シャルトルーズ修道院』/フィリップ・グレーニング監督
『ザ・トライブ』/ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督
『EDEN/エデン』/ミア・ハンセン=ラヴ監督
『アスファルト』/サミュエル・ベンシェトリ監督
『ホームレス ニューヨークと寝た男』/トーマス・ヴィルテンゾーン監督
『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』/テレンス・ディヴィス監督
『女の一生』/ステファヌ・ブリゼ監督
『修道士は沈黙する』/ロベルト・アンドー監督
『最初で最後のキス』/イヴァン・コトロネーオ監督
『ディヴァイン・ディーバ』/レアンドラ・レアル監督
『シシリアン・ゴースト・ストーリー』/ファビオ・グラッサドニア監督 アントニオ・ピアッツァ監督
●ムヴィオラ見放題配信パック 3ヶ月2,480円(税込)
URL:https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2413/
『世紀の光』/アピチャッポン・ウィーラセタクン監督
『光りの墓』/アピチャッポン・ウィーラセタクン監督
『鉄西区 三部作』/ワン・ビン監督
『鳳鳴―中国の記憶』/ワン・ビン監督
『無言歌』/ワン・ビン監督
『三姉妹―雲南の子』/ワン・ビン監督
『収容病棟 前後編』/ワン・ビン監督
『苦い銭』/ワン・ビン監督
『郊遊<ピクニック>』/ツァイ・ミンリャン監督
『ラサへの歩き方』/チャン・ヤン監督
『草原の河』/ソンタルジャ監督
『すれ違いのダイアリーズ』/ニティワット・タラトーン監督
『祝福〜オラとニコデムの家』/アンナ・ザメツカ監督
『フォンターナ広場〜イタリアの陰謀』/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督
『パプーシャの黒い瞳』/ヨアンナ・コス監督 クシシュトフ・クラウゼ監督
『オレンジと太陽』/ジム・ローチ監督
『追憶と、踊りながら』/ホン・カウ監督
『もうひとりの息子』/ロレーヌ・レヴィ監督
『ヴィオレット-ある作家の肖像-』/マルタン・プロヴォ監督
『ルイ 14 世の死』/アルベール・セラ監督
『わたしは、幸福(フェリシテ)』/アラン・ゴミス監督
※第2弾は5月22日15時00〜配信予定。
■「Help! The 映画配給会社プロジェクト」発起人 コメント
新型コロナウィルスの影響で、日本全国の人々、そして事業者の誰もがかつてない難局を迎えています。それは映画業界も同様です。13の特定警戒都道府県では映画館の休館がさらに続き、緩和容認や解除となった34県でも休館を続けざるを得ない映画館があり、再開できても以前のような集客は不可能で、やがてくる「第二波」「第三波」も想定すると、映画界にとって「コロナの時代」は長くなると覚悟せざるを得ません。このような状況の中で、小規模映画館<ミニシアター>を守るための「ミニシアター・エイド基金」や、日本映像職能連合(映職連)の政府への補償要望書の提出など、数々のアクションが始められましたが、私たち、独立系配給会社も、この難局を乗り越えるために何をすべきか模索してきました。配給会社は、映画館や監督・俳優たちと違って、直接的に観客と触れ合うことの少ない、黒子の存在です。洋画の場合で言えば、まず映画を発見し、買い付けをし、日本全国の映画館に上映を依頼し、宣伝し、映画を公開し、DVD・VOD・テレビでも映画を見てもらえるように活動します。そして、大手配給会社と比べると、独立系配給会社は収益の多くを映画館収入から得ており、その映画館の多くは、小さくとも存在感のある全国のミニシアターです。また、アメリカ映画や邦画だけでなく世界中のさまざまな地域の映画を紹介している点も独立系の特色です。収益から製作者にお金を戻すことで、世界中の製作者の次の映画への一助ともなってきました。映画館に観客が行けない今、独立系配給会社にはほとんど収入がありません。しかし、私たちがここで倒れては、ミニシアターに映画を届けることができなくなり、世界の映画人が日本の観客に映画を見てもらう機会が失われてしまいます。そして小さな会社といえど、私たちにも大切なスタッフがいて、字幕翻訳者、グラフィックデザイナー、予告編制作者、web デザイナー、パブリシスト、通訳など多くの仕事仲間がいるのです。もちろん、国や自治体の補償を訴えることも大切ですが、待っていては倒産する配給会社も出るでしょう。私たち自身の足で立って、歩かなければなりません。私たちの財産は、映画しかありません。世界の多様な映画です。配信で、そうした多様な映画を見てもらうことで観客の力を借り、この難局を乗り越えたいと思うのです。配信は過去作に限り、あくまで新作は映画館で公開してミニシアター映画館の収益を確保しながら、過去作の配信によって少しでも経営を安定させ、映画館や仕事仲間達と築いてきたこの事業の継続を目指したいと考えています。そしてこのプロジェクトによって、今まで見えにくかった「映画配給」という仕事を一般の方々にも知っていただき、各配給会社の個性も感じていただきながら、いま、世界中の国々が物理的な鎖国状況にある中で、映画で世界とつながることの価値を感じていただけたらと願っています。
「Help! The 映画配給会社プロジェクト」
公式note:https://note.com/help_the_dsbtrs