『薄氷の殺人』の気鋭監督最新作 中国での犯罪や社会の底辺で生きる人間たちの現実『鵞鳥湖の夜』5月公開!

『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭金熊賞と銀熊賞(男優賞)をダブル受賞した、中国の気鋭監督ディアオ・イーナンが5年ぶりに描くノワール・サスペンス『WILD GOOSE LAKE』(英題)が、邦題『鵞鳥湖の夜(読み:がちょうこのよる)』として5月29日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。

中国の知られざるアンダーグランドの犯罪や社会の底辺で生きる人間たちの現実をあぶり出し、本国チャートで初登場2位を記録する異例の大ヒットを飛ばした本作。第72回カンヌ国際映画祭でポン・ジュノ監督作『パラサイト 半地下の家族』と並び、アジア発の衝撃をカンヌにもたらして絶賛を博した。

孤独なアウトサイダーである主人公の男女、警察の捜索チーム、バイク窃盗団のギャングの行動が交錯していくストーリー展開は、フラッシュバックを導入した幻惑的な語り口、湖や雨などの“水”をフィーチャーしたロケーション、ダイナミックで切れ味鋭いアクション・シークエンスと相まり、とてつもなく濃密なサスペンス、エモーションを創出する。夜間シーンが大半を占め、その暗闇の魅惑に満ち、光と影の強烈なコントラスト、極彩色のライトや蛍光ネオンサインが照らす妖しいムードが、観る者を夢幻的にして迷宮的な陶酔へと誘う。

撮影監督は、『薄氷の殺人』に続いてディアオ・イーナン監督とコンビを組んだトン・ジンソン、照明監督は、ウォン・カーウァイ監督作『花様年華』『2046』のウォン・チーミンが務める。主人公チョウ役にはジャッキー・チェンと共演した歴史大作『1911』のフー・ゴーが扮し、『薄氷の殺人』で主演を務めたグイ・ルンメイとリャオ・ファンが再共演を果たすなど、中華圏を代表するキャスト、スタッフが集結した。

ポスタービジュアルには対照的な色彩の中に佇む男と女が収められ、「孤独に溺れて、闇夜を彷徨う」というキャッチコピーは、不穏であるからこその夢幻的で魅惑的な雰囲気を醸し出す。

『鵞鳥湖の夜』
5月29日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国公開
監督・脚本:ディアオ・イーナン
出演:フー・ゴー グイ・ルンメイ リャオ・ファン レジーナ・ワン
配給:ブロードメディア・スタジオ

【ストーリー】 2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖の周辺地域は、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。刑務所を出所して古巣のバイク窃盗団に舞い戻った裏社会の男チョウ(フー・ゴー)は、対立する猫目・猫耳兄弟たちとの揉め事に巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまう。たちまち全国に指名手配され、警察の包囲網に追いつめられたチョウは、自らに懸けられた報奨金30万元を妻と幼い息子に残そうと画策する。そんなチョウの前に現れたのは、妻の代理としてやってきたアイアイという見知らぬ女。寂れたリゾート地の鵞鳥湖で水浴嬢、すなわち水辺の娼婦として生きているアイアイと行動を共にするチョウだったが、警察や報奨金の強奪を狙う窃盗団に行く手を阻まれ、後戻りのできない袋小路に迷い込んでいくのだった…。