今年で生誕110年を迎えた昭和の文豪・太宰治の未完の遺作を、ケラリーノ・サンドロヴィッチが独自の視点で完成させた戯曲「グッドバイ」を、大泉洋と小池栄子のダブル主演で映像化した『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』が、2月14日より公開される。それに先立ち、2月6日に札幌シネマフロンティアにて舞台挨拶付き先行上映会が行われ、キャストの大泉洋、小池栄子、そして成島出監督が登壇した。
暖冬の今年だが、この日に限って寒波が北海道を襲い、東京からの飛行機が無事新千歳空港に着陸するのか危ぶまれた舞台挨拶付き先行上映会当日。3人を迎えたのは、会場を埋めた満員の観客の温かい拍手。大泉が「久しぶりに札幌に来たら、寒波」と会場の笑いを誘ってイベントはスタートした。続いて小池が「大泉さんの地元に来れて嬉しいです。自信作です」と胸を張ると、成島監督も「大泉さんの地元・札幌に来るのを楽しみにしていたので、今日はとても嬉しいです」と感慨深けに挨拶。そして大泉が「僕の主演映画が公開されると、必ずキャンペーンで札幌に来るんです。それってつまりそれだけ北海道の人が映画を観てくれるってことなので、(北海道の人は)どれだけ僕のことが好きなんだろうって思う」とホーム・札幌との強い絆について語ると、すかさず「今日、空港に着いたとき、誰も出待ちしている人いなかったよ!?」と小池からの鋭いつっこみが入った。負けじと「ごくたまにしか来ない人は出待ちされるかもしれないけれど、僕はいつだって道民の皆様の隣にいるんです。“いつだって隣にいてくれる洋ちゃん”なんです」と“愛されアピール”で大泉が反論。丁々発止のやりとりに会場は笑いに包まれた。
作品タイトルにちなんで“嘘”にまつわるエピソードを尋ねられると、「これまで大泉さんとのプロモーションが疲れるとかって言ってきましたけど、本当は感謝しているんです。なので、今日は感謝の気持ちを手紙に書いてきました」と何やらごそごそと取り出そうとする小池。まさかの感動的な手紙のサプライズに期待が高まる会場。予想もしていなかった展開に驚きの表情を見せる大泉。しかし、小池から出た言葉は…、「嘘で~す!!!」。爆笑の渦に包まれる会場。見事に騙された格好の大泉はしばし呆然とし、「こんなところで泣くわけにもいかないな、って本気でどうしようって思っていたのに…」と脱力していた。
続いて、「どのキャラクターが自分に似ていますか?」という質問には、小池が「キヌ子が近いです。大食いで怪力。(吹替でなく)自分で(タンスや大泉を)担いでいますから」と答えると、「あそこが痛い、ここが痛いって文句ばっかり言うんですよ、この人」と大泉が茶々を入れる。間髪入れずに「痛みに弱いのは自分じゃない」と小池は応戦した。
そんな二人のやりとりの後、二人をキャスティングした決め手を尋ねられた監督は、「二人の掛け合いが映画に合っている。大泉さんに田島を演じてもらったら、明るく楽しい映画になるんじゃないかと思ったんだけど、予想をはるかに超える映画になりました」とコメント。笑いが途切れることのないコメディ映画の舞台挨拶にぴったりな楽しいイベントとなった。
『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』
2月14日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:成島出
原作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(太宰治「グッド・バイ」より)
出演:大泉洋 小池栄子 水川あさみ 橋本愛 緒川たまき 木村多江 皆川猿時 田中要次 池谷のぶえ 犬山イヌコ 水澤紳吾 戸田恵子 濱田岳 松重豊
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 戦後の混乱から復興へ向かう昭和のニッポン。文芸雑誌の編集長の田島周二(大泉洋)は、気がつけば何人もの愛人を抱える始末。このままではいけないと愛人たちと別れる決心をしたものの、優柔不断な田島は、彼女たちを前にすると別れを切り出すことができない。困り果てた田島は、金にがめつい担ぎ屋・キヌ子(小池栄子)に、女房を演じてくれと頼み込む。そう、キヌ子は泥だらけの顔を洗うと誰もが振り返る女だったのだ。男は、女と別れるため、女は、金のため…。二人の“嘘(にせ)夫婦”の企みが始まった。
©2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ