アオキ裕キが主宰し、ホームレスたちと“生きる舞”を表現するダンス集団「新人Hソケリッサ!」の姿を追ったドキュメンタリー映画『ダンシングホームレス』が、3月7日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。
本作には、路上生活経験者だけで構成されたダンスグループ「新人Hソケリッサ!」に所属する、家族も財産もすべてを失ったホームレスたちが実名で登場。唯一残された肉体と圧倒的な熱量で、彼らにしかできない肉体表現を追求していく姿を描き、彼らの過去と現在、そして彼らの生きている証である踊りを力強く見つめていく。
予告編の冒頭では、路上で寝泊りするダンス集団ソケリッサのメンバーたちの姿が映し出され、野外の場で、時には雨の中で生きる舞を見せる。ソケリッサ主宰のアオキ裕キは、彼らの肉体表現には「路上生活を経験した身体から出てくる魅力」に溢れると断言する。メンバーひとりひとりが壮絶な過去を経験し、生きるために今の生活を選んだ。彼らは、モザイクをかけることなく素顔で過去・現在の苦悩を吐露する。映画のラストでは、そんな彼らが13分を超えるダンス=生きざまを表現し、観る者に“一つの演目のステージ(路上)に立ち会うことができる”という期待感を持たせる。予告編の最後、アオキは「社会のルールがいいですか?」と社会に、そしてカメラの向こうの我々に痛烈なメッセージを投げかけ映像は終了する。
『ダンシングホームレス』
3月7日(金) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・撮影:三浦渉
出演:アオキ裕キ 横内真人 伊藤春夫 小磯松美 平川収一郎 渡邉芳治 西篤近 山下幸治
配給:東京ビデオセンター
【作品概要】 新宿のバスターミナルで路上生活をする西篤近(40)。ダンスで生計を立てたいと願うが、人間関係がうまくいかず、借金も膨らみ、親にも縁を切られ、ホームレス生活を始める。一度は野垂れ死ぬことも考えた西が出会ったのが、路上生活経験者だけで構成されるダンスグループ「新人Hソケリッサ!」だった。主宰者の振付師アオキ裕キ(50)は武者修行に行ったアメリカで同時多発テロに遭遇した衝撃から、帰国後にソケリッサを立ち上げる。社会からも妻からも逃げた小磯松美(70)。メニエル病を患いドロップアウトした横内真人(56)。父親の暴力から逃れ路上生活者となった平川収一郎(49)。アオキはそんな全てを捨ててきた人たちから生まれる「肉体表現」を追求しようとしている。彼らを応援してくれる人もいるが、時として「わかりにくい」「踊れるなら働け」と罵倒されることもあり、苦悩する。しかし、アオキは不器用で、いまあるようにしか生きられないホームレスたちのそのままを受け入れ、彼らも踊りを通してもう一度生きがいを取り戻していた。物語のクライマックスでは渾身の肉体表現をメンバーが魅せる。
© Tokyo Video Center