恩田陸「装幀家は妬みつつも憧れる職業」、西川美和「すごく感動」著名人絶賛!『つつんで、ひらいて』立体的ポスター

柳楽優弥主演の監督デビュー作『夜明け』の広瀬奈々子監督の最新作で、装幀者の菊地信義の仕事を追いかけたドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』が、12月14日より公開される。このほど、本作の立体的なポスタービジュアルがお披露目となり、併せて、各界著名作家陣より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

現在75歳の菊地は、独立から40年、中上健次や古井由吉、俵万智、金原ひとみなど1万5000冊以上の本の装幀を手がけ、日本のブックデザイン界をリードし続けてきた存在。紙と文字を触りながら、あくまで手作業で一冊ずつ本をデザインしている。本作では、菊池の指先から、印刷、製本に至る工程を見つめ、ものづくりの原点を探っていく。インターネットが日常のものとなった今だからこそ、物への愛着、紙の手ざわりにフォーカスし、出版やデザインに関わる人だけでなく、本好きには必見のドキュメンタリーである。

菊地信義と、映画に登場する弟子の水戸部功がデザインを手掛けた前代未聞の“立体的宣伝ポスター”。「本をポスターにしよう」という発想でデザインされたこのポスターは、平面ではなく立体。ブックカバーをイメージした本体に、本のページが貼り付けられ、中を開くと映画の説明を読むことができる。まさに「ポスターで本を読む」体験ができる驚きの仕掛けになっている。『つつんで、ひらいて』の映画タイトルにちなみ「折り畳まれた状態から開く」形状であり、折り目をタブーとするポスターの常識を打ち破る「折り目まで美しくデザインされた」ポスターが完成した。立体的宣伝ポスターは、本作を上映する全国の劇場で飾られる予定だ。

▼著名人 絶賛コメント

■恩田陸(小説家)
装幀家。生まれ変わったら一度でいいからなってみたい、ずっとずっと妬みつつも憧れている職業です。

■西川美和(映画監督/小説家)
一人の書き手として、紙がどういう風に印刷され、製本されるのかを見せてもらえてとても有難かったです。一冊の本が出来る裏側では、これだけの人が関わっていて、もの作りというものに没頭する人々がいる。そのことにすごく感動しました。

■平野啓一郎(作家)
菊地さんの膨大な仕事の中で、「決壊」が近年の重要な作品として挙げられるのを見るにつけ、私は、誇らしい気持ちになる。自分の書いた小説も、まるで、菊地さんのデザインに寄与するために書かれたかのような感じさえしてくるのだ。

■若松英輔(批評家/随筆家)
本には二つの言葉が宿っている。目に見える言葉と、目には見えないもう一つの「コトバ」だ。この映画を見ていると、目に見えるものは、目に見えないものへの扉であることが分かってくる。そして、仕事にいのちを吹き込み、意味あるものにするのは、未知なる者への愛であることも。

『つつんで、ひらいて』
12月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・編集・撮影:広瀬奈々子
企画制作:分福
音楽:biobiopatata
エンディング曲:鈴木常吉
出演:菊地信義
配給:マジックアワー

【作品概要】 空前のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」をはじめ、1万5千冊以上もの本をデザインした稀代の装幀者・菊地信義と、本をつくる人々を追ったドキュメンタリー映画。美しく刺激的な装幀で読者を魅了し、大江健三郎、古井由吉、浅田次郎、平野啓一郎、金原ひとみら名だたる作家たちに愛されてきた菊地に3年間にわたり密着。手作業で一冊ずつデザインする指先から、本の印刷、製本に至るまでの過程をとらえ、「読者が思わず手に取る美しい本」が生まれる舞台裏に迫る。

(C)2019「つつんで、ひらいて」製作委員会