綾野剛、東京の“楽園”新宿では「危なそうな人に髪の毛を掴まれた覚えしかない(笑)」

『悪人』、『怒り』など多数の著書が映像化されるベストセラー作家・吉田修一による傑作短編集「犯罪小説集」を、主演に綾野剛、共演に杉咲花、佐藤浩市を迎えて『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化した『楽園』が10月18日より公開される。このほど、10月8日に紀伊国屋書店 新宿本店にて、映画『楽園』×「犯罪小説集」書店イベントが行われ、キャストの綾野剛、佐藤浩市、原作者の吉田修一、瀬々敬久監督が登壇した。

公開に先駆け、小説「犯罪小説集」から生まれた本作が、紀伊国屋 新宿本店をジャックしてスタートした本イベント。初めに、本作のタイトル『楽園』にちなんで、MCから「東京の“楽園”といえば、映画もグルメもショッピングも何でもできる新宿」という説明が。綾野は、今回の紀伊国屋とのコラボについて「とても嬉しいです!」と笑顔を見せつつ「新宿が楽園ですか?へぇ~、そうですか」と納得がいかない様子。「『新宿スワン』という作品をやっている時に、撮影中、ちょっと危なそうな人に髪の毛を掴まれた覚えしかないので(笑)」と苦い思い出を明かし、「なかなか激しい街だなと思いますけれども、天国も地獄も表裏一体ですからね。そうですよね、浩市さん!」という綾野からの振りに、佐藤は「俺に振らなくていいから!」とツッコミで返した。

「こういう書店の前でやらせてもらえるのは初めて」という佐藤は、新宿の印象について、「夜、歌舞伎で撮影をやるといろいろ大変なんですよ。ここではお話できないエピソードもいっぱいありますね(笑)」と綾野と同じく苦笑いで語った。

本作を鑑賞した原作者の吉田からは「圧倒された。悲しみとか、いろんな人間の感情が全部奪い取られるような、あまり経験したことがないような気持ち」になったという感想も。綾野は、吉田原作の作品への出演は『横道世之介』、『怒り』に続き本作で3本目となり、「まだまだ“吉田ワールド”にいきたいなと思っていますし、もっともっと頑張ろうと思います」と気を引き締めていた。

本作の魅力について、佐藤は「人が目指す“楽園”とはどこにあるのか、何をもって“楽園”とするのか、いろんなことを観ながら考えてもらえる映画」と述べ、「いい意味での後味の悪さを感じてもらえたら」とコメント。綾野は「この作品に出ている人物は誰一人、心は乏しい人はいない」と答え、「状況や環境が生み出してしまう魔力があると思うんです。僕たちはそういう人たちにもっと気づいていかなきゃいけないし、抱きしめなきゃいけない人たちが世の中にはたくさんいるということを伝えていけたら」と本作で描かれるキャラクターへの想いを語った。

最後に、原作「犯罪小説集」、その第2弾となる「逃亡小説集」の発売の紹介も。「『逃亡小説集』、瀬々さん、やりましょうよ!何かから逃げたいです!」と興奮気味の綾野に対し、瀬々監督も「一緒に逃げようか!」と意欲を見せていた。

『楽園』
10月18日(金)全国公開
監督・脚本:瀬々敬久
原作:吉田修一「犯罪小説集」
主題歌:上白石萌音「一縷」 作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
出演:綾野剛 杉咲花 村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明 佐藤浩市
配給:KADOKAWA

【ストーリー】 あるY字路で起こった少女失踪事件。未解決のまま、家族や周辺住民に深い影を落とし、直前まで一緒にいた少女の親友・紡(杉咲花)は罪悪感を抱えたまま成長する。12年後、またそこで少女が姿を消し、町営住宅で暮らす青年・中村豪士(綾野剛)が容疑者として疑われた。互いの不遇に共感しあっていた豪士を犯人とは信じ難い紡だったが、住民の疑念が一気に暴発し、追い詰められた豪士は街へと逃れ、思いもよらぬ自体に発展する。その惨事を目撃していた田中善次郎(佐藤浩市)は、Y字路に続く集落で、亡き妻を想いながら、愛犬・レオと暮らしていた。しかし、養蜂での村おこしの計画がこじれ、村人から拒絶され孤立を深めていく。次第に正気は失われ、想像もつかなかった事件が巻き起こる。Y字路から起こった二つの事件、そして3人の運命の結末は…?

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